Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

Point of Sales(2)

 米国でスーパーマーケットなる業態が商品流通のかなりの部分を占めるようになってきた1953年、日本でも「京阪ザ・ストア」が京橋駅前に開業していてこれが日本のスーパーの最初と言われている。米国で1970年代には商品のバーコード管理が普及し、POSシステムを導入できた大手と導入できなかった中小の格差が厳然として、業界淘汰が進むのを日本の事業者も見ていた。

 しかし商品を扱う現場には、バーコード導入への否定的な意見が多かった。いちいち貼るのは面倒くさい、生鮮食品にどうやって貼るのだ、と非難轟轟。POSシステムを「ご提案」しているベンダーは、なんとか現場に納得してもらおうと通いつめ、一緒にバーコード貼りの作業までした。このあたりの苦労は「下町ロケット」や「半沢直樹」的に書いてもらえたら嬉しい。

 ベンダーはもちろん経営もバーコード&POSは導入したいが、現場や納入業者は導入したくない。この膠着状態を破ったのは、ある大手(というより巨大)スーパーのカリスマ経営者。「バーコード付でない商品の調達を禁じる」と言い出した。納入できなくなったら死活問題、とばかり一気に缶詰・ボトル・パッケージにバーコードが印刷されてくるようになった。

    

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 いざ動き出すと、日本の現場は素早いし緻密だ。鮮魚売り場はパックしてその上にバーコードを貼るようになったし、野菜も袋にいれてバーコード貼りをした。これと並行して、キャッシュ・レジスターはPOS端末へと置き換えられていった。こうして1980年代には日本のスーパーマーケットのレジはPOS化され、同時期に増えて来たコンビニエンスストアでもPOSは当たり前のものになった。

 米国スーパーマーケット業界は1980年代に大きく収益を伸ばしていて、これはPOSシステム導入により取り扱い商品数が数倍になった(それほどの商品数を管理できるようになった)からだと言われている。同じことは、日本のスーパーマーケット業界でも起きていたはずだ。その一方で旧来型の商店街や小規模事業者には、厳しい時代が訪れている。

 仕入れや売り上げのデータは金銭面でのトラブルを減らし迅速な発注や効率的な在庫管理をもたらしたが、さらに利活用の余地があった。商品ラインナップの見直しや、特売等タイミングの見極め、お客様のニーズ発掘など、マーケティングへの適用である。

<続く>