Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

広域ブラックアウト

 2016年10月12日に起きた首都圏の広域ブラックアウト(停電)では、60万戸近くが影響を受けたという。商売柄「サイバー攻撃」を疑ったが、それは杞憂だったようだ。それでも交通信号機が止まり、医療機関交通機関・行政機関を含む広範な組織の機能を麻痺させた。

 
 中学生の頃、交通機関国鉄)や通信機関(電々公社)らが官営で、電力会社が民営なのはどうしてだろうと思ったことがある。電力を喪失すれば、列車や電話も使えなくなるのに、大元の電力機関が民営でストで止まったりすることを危惧したのだ。当時は労働組合もそれなりに存在感を持っていて、本来ストをしてはいけない国鉄労組が「スト権(を得るための)スト」などを平気でやっていた。
 

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 その後国鉄はJRに、電々公社はNTTに「民営化」されたが、10電力会社は民営のままである。さらには「電力自由化」の波まで来ている。急速に発展している都市の運営は、いまや電力ナシには成り立たない。災害時などでも水と空気があれば当座しのげるとは言うものの、空気はともかく水は電力がないと水道管を流れてこない。地下街のように密閉された空間なら、空気を送っているのも電力だろう。
 
 報道を見る限りケーブルの老朽化とかメンテナンス不足が原因なので、電力会社に対して「手抜きだ」との批判が集まるように見える。起きてしまったことはある意味仕方がないが、これを教訓にインフラの強化を図らないといけないとポジティブに考えていくべきだろう。それも電力会社にケーブルの更新求めるという近視眼的なことだけではなく、市民自身が広域ブラックアウトの都市へ影響を十分認識するようにメディアも努力して欲しいと思う。
 
 2015年末にウクライナで広域ブラックアウトがあったことは、記憶に新しい。原因はサイバー攻撃で、紛争中の隣国のしわざと言われている。サイバー攻撃も通信障害を起こさせたり、情報流出を狙う段階からもう一歩進んできたと思っている。電力会社が手抜きをしなくても、国家レベルの大規模な組織がその気になれば広域ブラックアウトは意図的に起こすことができると知って、今回の事件を見ていくべきだろう。
 
<初出:2016.10>