Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

災害対応緊急措置

 台風21号と北海道地震は個々にでも大きな災害だが、立て続けに起こったことでより深刻な打撃を列島に与えたようだ。直接的には21号の大雨で地盤が緩んでいたところの大地震で、地すべりや液状化は激しいものになっただろうし、間接的にはインバウンド受け入れ拠点の関西国際空港の機能と、一大観光地である北海道全土の魅力がそがれたことが上げられよう。

 関西国際空港は1本の橋梁でのみつながっており、この鉄道部分の復旧に来週までかかるというのは痛い。第一ターミナルも完全復旧も程遠そうだ。そこで、カンクウ便を、神戸空港伊丹空港に当座振り替えることが検討されている。僕自身利用した経験はないが、京都大で教授をしている友人は羽田・伊丹便で往復している。地下鉄一本で大阪市街に入れる便利な空港だ。市民からは騒音被害を懸念する声はあるが、市長は前向きらしい。カンクウ集中を回避して、インバウンド受け入れ態勢を重層的にするきっかけになるかもしれない。

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 一方北海道全域の電力不足は、もっと深刻である。すでに内陸では最低気温が氷点下になっているし、電力需要の増す冬は直ぐにやってくる。冬季に計画停電となれば生死に係る問題になる。かといって、今でもつなわたりの電力供給では、再度ブラックアウトを起こしてもおかしくない。苫東厚真火力の復旧が待たれるが、地震被害についての検査も未了で場合によっては全面稼動まで数ヵ月ともいう。

 新設の火力発電所は来年4月稼動だそうだから、冬季には間に合わない。現実的な解としては、泊原子力発電所の「暫定的な」稼動しかないように思う。すでにネット上を含めて多くの意見が飛び交っているが、僕は先日の記者会見で菅官房長官が「現在、原子力規制委員会で新規制基準に基づく安全審査中であり、直ちに再稼働をすることはあり得ない」と述べたことで、政府内では再稼動に向けた動きがあるように感じた。この言葉を裏返せば、「安全審査が済めば、(冬季に入る前に)再稼動することはありうる」と読めるからだ。

 インバウンド需要は所詮経済だけのことですが、冬季の計画停電やブラックアウトは人命に係ります。今度のの震災の犠牲者は41名でしたが、これに数倍する「震災関連死」は起きて欲しくありません。

 

<初出:2018.9>