Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

宗教によるアパルトヘイト

 米国が在イスラエルの大使館をテルアビブからエルサレムに移して以降、イスラエルと周辺国の軋轢は激しさをましている。アラブ系の人たちの怒りや抵抗が高まるに対して、ネタニヤフ政権の強権ぶりも目立ってきた。まあ、作用反作用の法則であるから仕方がない面はある。しかし今度の「国民国家法」制定は、いくらなんでもやりすぎだと思う。イスラエルではユダヤ民族だけが「自立権」を持つというのだから、法の下の平等は吹き飛んでしまったわけだ。

 
 
 この記事を読んで、イスラエルにも相当数(2割)アラブ人が国民として住んでいることを知った。その人たちの代表が、議会に議席を持っていることも分かった。アラブ人も国民として兵役にも就けば税金も納めているのだろう。であれば、彼らに「自立権」を認めないのはおかしい。
 

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 もともとユダヤ人という定義はDNAによるものではない。極端に言えば、ユダヤ教徒であることだけでいいとも聞いた。イスラエル建国以前は欧州からロシア、中東、東洋、アメリカ大陸にいたるまで広く分布していたユダヤ教徒が、集まってきてできた国である。北欧系も東洋系も、インド系もDNAはさまざまだ。だから、これは人種ではなく宗教によるアパルトヘイトと言ってもいい。
 
 うがった考えだが、ユダヤ人の中にも格差がある。かの地であった政府関係、企業のTOPはほとんど北欧系の人だった。人種・教育その他で役職や年収にも差があるのだろう。ユダヤ人の中でも年収等の低い人たちの不満を、政治や経済中枢とは別の方に向けさせるための「政策的アパルトヘイト」ではないだろうか?
 
 米国のプアホワイトに代表されるような新しい格差、これが各国で広がり国民の不満が高まっている。この人たちにおもねるポピュリズム政党が台頭して、社会をより不安定にしているように思う。その象徴、言うまでもなくトランプ先生ですよね。
 
<初出:2018.8>