Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

移民と犯罪の相関関係

 トランプ先生の目の前の敵は沢山いるが、移民というのもその一つ。特に人口が増えていて、国境を長い距離で接している国メキシコはその代表格である。G7の折、安倍首相に「シンゾーに2,500万人のメキシコ移民を回したら、即退陣だ」と、脅しとも冗談ともつかぬ暴言を吐いたという。

 
 日本政府が「骨太の方針」で外国人就労の条件緩和を発表したことを受けての事だとは思うが、一国の(大国の)政治主導者が口にする言葉とは思えない。また、そのくらいメキシコ移民には頭にきているということなのだろう。トランプ先生の口撃はこれに留まらない。ドイツが移民の受け入れに比較的積極的であることを揶揄して、「ドイツでは移民流入後に犯罪が増えた」と(例によって)ツィッターで非難したのである。
 
 
 これをドイツのメルケル首相は証拠を示して一蹴したのだが、「Fake News」の時代にあっては本当はどうなのか証拠を示しながら政策を決定してゆくこと、それを透明にメディアや市民に示していく必要がある。トランプ先生は、そのところはご理解いただけないようだ。
 
 一方ドイツの移民政策は寛容である。先日ハノーファーの街を歩いていて、多くの移民と思しき人たちに会った。近くのスーパーマーケット付近ではブルカを着けた女性たちが「井戸端会議」をしているのも見たし、そのそばでは「ハラル」の表示をした肉屋も見かけた。

        f:id:nicky-akira:20190603182611p:plain

 10年以上も前、「マイナンバー」の調査でヨーロッパ各国を廻った。その時、旅慣れた人がタクシーに一緒に乗って運転手にいろいいろ話しかけていた。ここは住みやすいか、移民のコミュニティはあるか、政府の支援はどうか等々。タクシーの運転手が「この国はいい」というのが、移民を受け入れている国のバロメーターなのだという。当時から欧州各国は少子高齢化の状態にあり、労働力の補充は移民に頼らざるを得なかったのである。しかし国によっては、移民に冷たいところもあった。
 
 その結果、移民の中にはマフィア的な組織に組み込まれて犯罪に手を染める人も多くなっていったという面はある。しかし少なくともドイツの今は、移民増が犯罪増に直結していることはないようだ。メルケル首相の矜持は見上げたものだが、日本の政策が移民容認に動き始めたと危惧する人もいるようだ。僕はそこまでの決定を今回政府がしたとは思わないのだが、それでもいずれはそういう時期が来る。「覚悟」をする時間が少しはあると思いますから、国民みんなで考えるべきことでしょう。
 
<初出:2018.5>