Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

高学歴というリスク

 

 僕が大学生だったころ、大学院生も大学院も決して多くなかった。恐らく工学部が一番比率的には多かったのだろうが、それでも博士課程となるとほとんどおらずほぼ間違いなく大学に教員として残る人だったと思う。修士課程もいるにはいたが、半分近くは博士課程進学を考える学生だった。
 
 工学部のなかでも僕の情報工学科は、大学院の多い学科だった。理科系の学部のある大学なら、大体コンピューターセンターは必要とされた。センターを設置する手っ取り早い方法は、工学部情報工学科を作ること。ただ学科の新設は文部省(当時)に容易に認めてもらえなかった。学部に比べて大学院の方が作りやすかったらしく、方々に学科のない「工学研究科大学院情報工学専攻」が出来上がった。
 
 全国的に大学院の定員が増えたものだから、大して成績の良くない僕も修士課程に滑り込むことができたわけだ。修士課程を終えて就職するときも、修士対学部の比率は1:5を超えることは無かったように思う。その後大学院のキャパシティが増えてきたのか、会社に入ってくる理系の新卒のかなりの部分が大学院生になってきた。

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 僕が会社で新卒と付き合わなくなって、20年近くになる。最近はこの若いのがどの専攻卒か、どの大学卒か、修士か学部か博士かなど気にしなくなっている。だからこの記事を見た時は、違和感というよりがっかりした気分になった。大学で非常勤講師などしていた経験からすると、学部の3~4年生では社会人として十分な知識/経験を持っていない。大学院生くらいにならないと、人物含めて社会人の入り口に立てないように思っている。
 
 
 しかし、高学歴そのものがリスクだというレポートである。日本の大学教育、何かが間違ってきているようです。
 
<初出:2018.5>