Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

「炎上」の背景にあるもの

 中国のサイバーセキュリティ法によれば、インターネットに接続するには仮名ではNGで、本名を名乗らないといけない。論旨としては、匿名をいいことにネット上で詐欺や誹謗中傷、デマを流すヤカラが跋扈する欧米式のインターネットは社会的に良くないということだ。もちろんこれは、セキュリティを言い訳にしたインターネット規制であることは明白である。

 
 別に「習皇帝」を弁護するわけではないが、中国政府の悩みもわからなくはない。一説には100万人を越す人民解放軍兵士がネット上の書き込みを監視、不穏当なものは片端から消す作業に従事しているという。今後このような作業負荷は減ることはあるまい。また中国王朝の過去を見れば最大の敵は「民衆蜂起」であるから、それを扇動しやすいネット社会を気にするのもわかる。

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 「皇帝」に限らず誰しも批判されるのはいやなものだが、インターネットは小さな火種を瞬く間に大火事にしてしまう特性を持っている。いわゆる「炎上」で、ネット以前もこのようなことはあったが昨今その威力は増している。
 
 
 不道徳なことはもちろん良くない。しかし、不倫その他現行法規に触れない程度の事でも「炎上」してしまうと、全人格の否定につながってしまう危うさを今の社会は持っている。褒められた話でもないし昔の事ではあるが、芸人の浮気は「芸のこやし」として黙認されていたこともあった。この記事にある有名なミュージシャンも、不倫で音楽まで取り上げられてしまったのでは気の毒だ。社会がこんなになってしまったのは、不幸な人が増えたからというこの記事の主張は正しいと思う。
 
 僕の知人にも、大学時代の経歴詐称を取り上げられ20年近い社会人生活についてさまざまな疑惑を書きたてられた人がいた。発端となった学歴詐称は事実でしたが、疑惑は「小説よりも奇なり」の規模で広がってしまった。本人も知らないところで、多くのねたみ、そねみを買っていたのでしょう。
 
<初出:2018.4>