中国IT大手企業ファーウェイを巡る動きが、慌ただしくなっている。先日中国の専門家の意見を聞いた時、彼は「中国では外国人が思うほどオリジナルのイノベーションは起きていない。BATJなどもGAFAの真似。そんな中ファーウェイは立派な会社」と同社のような企業が出てくることを願っていた。同社は中国経済の今後を担う中核企業と、中国人は期待している。
6月のハノーファーメッセでも間違いなく最大の展示スペースを占めていたのは同社だし、単なるスマートホン世界第二位の企業というだけではない存在意義があるのだ。その破竹の進撃に歯止めがかかり始めたのは1年ほど前、米国が同社とZTEを狙いうって輸入禁止などの措置を始めてから。
その結果ZTEは事実上倒産状態だし、ファーウェイも苦しんでいる。その後、米国が次世代通信5Gに関し両社の製品を政府などで使用禁止にし、オーストラリアやニュージーランドもそれに倣った。イスラエルに至っては、重要インフラ企業(政府や軍はもちろん)が両社の製品を購入することを、10年前から法律で禁じている。
笹川財団のセミナーで、防衛事務次官だった人が「2000年ころ、ロシアが中国からの電気ポットの輸入を禁じた。ポットに盗聴器が仕組まれていたらしい」と述べたことがある。現在の諸国の危惧は、この延長線上にあるといっていい。
この記事はやや扇情的だが、中国製品に盗聴などの機能が仕組まれている可能性をいい、上記諸国の購入禁止につながっていると伝えている。日本でもその方向だとあるが、僕は経産省はその方向、5Gの早期普及に安い中国製品を必要としている総務省は反対方向で、まだ結論は出ていないと思っている。
しかし事態は単に購入禁止などのレベルを超えて、ファーウェイ創業者の娘でCFOの女性をカナダ政府が拘束するところまで来た。米国政府の要請ということだが、容疑などいくらでも作れる。これが最後の警告ということだろうか、それとも釈放してほしければ何かいうことをきけということ?普通米国の人質作戦といえば、解放をめぐる軍事行動なのですが、今回だけは人質をとったのは米国政府自身ですね。
<初出:2018.12>