シンガポール地下鉄ブギス駅の北西には、昔から有名だったブギス地区の商店街がある。何で有名かというと、今でいうLGBT、要するにオ×マ街だったわけ。これには、30年ほど前に駐在していた人の証言がある。駅の西ではブギス・ジャンクションとかブギス+という近代的なショッピング・センターが、多くの人出を集めている。
その中で昔ながらの風情を残しているのが、ブギス・ストリート。街路というよりはアーケード街である。両替所、衣料品店、装飾品店、お土産屋、食品店などゴチャゴチャと詰め込まれている。
このようなアーケード街は、アジアのそこかしこで見ている。香港でも台湾でも、安い衣料品が手に入るのはこういうところである。ヤンゴンやホーチミンの市場よりは整備されているものの、昔ながらの市場の雑踏を味合わせてくれる。
屋台もバラエティ豊か。インドの商売の神である「ガネーシャ」と、中国の商売の神「関帝」が並んでいたりする。通り1本奥まっただけなのに、近代的なショッピング・センター「ブギス+」などとは全く違う街の顔がここにはある。
ブギス+では比較的若い人たちが多く、装飾品などに足を止めている。ブギス・ストリートでは、高齢者も目立ち生活用品を買い求めている人が多い。生活用品の中には、「なんちゃって日本製」のようなものも目立つ。やはり日本製は高品質とのイメージがあるようだ。ただ日本では見たこともないようなものも見受けられる。これも、商売の巧みさであろう。
<初出:2016.10>