Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

グラーベン大通り

 ウィーン旧市街の真ん中、シュテファン寺院からユリウス・マインルに至る200mあまりの大通りがある。グラーベン大通りと呼ばれ、エルメス・シャネル・ザラ・H&Mなど多くの店が並んでいる。通リというよりは広場のようで、幅は20m以上ある。ウィーンのシンボル的な建物であるシュテファン寺院と王宮を結ぶ道路なので、昔から目抜き通りだったのだろう。

 
 すぐそばに聖ペーター教会があって、このまわり(ペーター広場)は観光馬車フィアカーの停留所になっている。そのためひんぱんに馬車がグラーベン大通りを横断してゆくが、その他の車両は通らない。巨大な歩行者天国である。
 
 中央部分にはいくつかのモニュメントがあるが、ひときわ目を引くのが「ペスト記念塔」。ヨーロッパでは14世紀にペストの大流行があり、人口の30%が犠牲になったともいう。17世紀にも流行があり、この時はウィーンでも10万人規模の犠牲者が出た。当時オーストリアハンガリーボヘミアの3国を統治していたハプスブルク家のレオポルド1世は、ペストの収束を契機にこの塔を建てた。
 
 先端部には金色に輝く像があり、壮麗なものだ。太陽が低い冬場でも、先端には陽があたって輝いている。広い通りなので、モニュメントの間をレストランのテラス席が占領している。肌寒い気候だったが、何人もの客がビールを飲んでいた。
 

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 通りは西の端で、高級食材店ユリウス・マインルに突き当たる。この街には「老舗」が多いが、中でもここは別格。創業1862年、世界中から美味しいものを集め続けて150年というわけ。ここではチョコレートやパンプキン・シード・オイルなどのお土産のほか、肉やチーズも買った。テーブルスタンドもあって、背の高い老紳士がシュニッツェルをつまみにワインの立ち飲みをしていた。
 
 ここは、時間がゆっくり流れる街。美味しいものに出会える通りである。
 
<初出:2016.11>