Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

Maritime Experiential Museum

  シンガポールが海運の要衝であることは、昔から変わっていない。東西交易路として、8~9世紀ころ「海のシルクロード」が開かれている。もちろん、シンガポールはその中継点のひとつだ。セントーサ島にある"Maritime Experiential Museum" には海のシルクロードに関する重厚な展示がある。


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 博物館に入ると、交易船のレプリカが圧倒的な迫力を持ってのしかかってくる。船首にあるマーライオン(?)が僕たちをにらみつけた。最初にインド洋を中心とした地図があって、中国・ベトナム・マレー・インドネシア・セイロン・インド・アラビア・ソマリアを経てケニアに至る海のシルクロードの全景が示されている。
 
 これらの地の特産品や風俗が個々にコーナーを設けて展示されている。米などの穀類、バティックなどの織物、さまざまな工芸品があるし、いつごろどういう民族・王朝が開いたかなど港の歴史が詳しく書いてある。

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 目立つのは「海賊」の表記。今でもマラッカ海峡ソマリア沖と並んで海賊のメッカだが、かなり伝統のある職業だったようだ。陸のシルクロードは広い砂漠や高い山、そこに出る山賊などが障害であるが、似たような障害は海のそれにもある。両者の比較表もあって、距離的には大きな差がないことがわかる。海のメリットは、一度に大量の物資を運べることだが、その分何かがあった場合の損失も大きい。
 
 ルートを詳細にみると、マラッカからセイロンへ至るところが危険なように思う。アンダマン海を直線的に横断しているので、沿岸から大きく離れるからだ。後年イギリスの東インド会社がここにルートを開拓した時は、セイロンからヤンゴン、ペナンと経由してマラッカに至っている。これなら距離は長くなるが、沿岸を航行できて安全性は増す。
 
 そんなことを考えながら、最後のコーナーでケニアの展示を見た。そういえば、今年のTICAD(アフリカ開発会議)はナイロビでやっていたな、と思い出した。
 
<初出:2016.11>