Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

Cross Border DATA Flows(4)

 インターネットは「世界インフラ」だし、クラウド技術によってデータは「勝手に」国境を越えていくし、"Cross Border DATA Flows" を妨げようと言ったって現実的じゃないでしょう、というのが僕の正直な思いだ。ところが国によっては、いろいろなことを仕掛けてくる。"Forced Localization" という問題も、結構昔からある。自由な通商を妨げるものである。

(1)自国の安全基準を押し付ける。
 セキュリティを守ることを理由に、独自仕様を提示してこれに従わないと製品を自国では売らせないぞ、ということ。

(2)自国の部品や国内調達率を強要する。
 製品を売りたければ、特定の自国製部品を使えとか、何%以上は自国内で調達しろということ。

(3)技術やソースコードの開示を強要する。
 ブラックボックスじゃ売らせない。技術とかプログラムソースコードを見せろということ。(そうすれば、その国はコピーを作れる)

(4)自国内からのデータ持ち出しを禁止したり、サーバを自国内に設置することを強要する。
 セキュリティやプライバシー保護を理由に、データを自国内に留めろ、持って帰るなということ。

 (1)~(3)は、製品の通商で良く言われていること。ところが、最近注目されてきたのが(4)である。これは製品輸出入というより、サービス貿易に関わるものだ。ある種の(クラウド型)サービスを、日本のサービス事業者が某国で展開するとする。昨今はやりの「ポケモンGO」をイメージしてもらってもいいだろう。

 サービス提供側も、コストは気になる。新しい国に展開するからといって、その国でサーバを設置したり要員を雇ったりはしたくない。既存の「クラウド設備」でサービスしようとする。一方、その国政府・産業界の立場からすれば、用地取得もない(固定資産税×)雇用は増えない(所得税×)では困る。中には自国にサーバ工場があるので、その売り上げを心配してなどというセコいのもあるかもしれない。
 

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 しかし中長期的に見ると、その国には新しいサービスが来づらくなる。たとえ来ても消費者のデータを持ち出せないとなれば、その国の消費者向けの改良は遅れがちになる。結局は、消費者を含めたその国のためにならない規制だと思う。

<続く>