Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

Cross Border DATA Flows(5/終)

 "Forced Localization" という問題のなかでも、"Server Localization" とか"Data Localization" という問題について前回まで述べてきた。なかなかに根深い問題だし、製品輸出に関する他の問題(ソースコード開示等)ほど、注目が集まっていない。特に日本では、製造業のサービス転換は遅れていることだし。
 
 そんな時に見つけたのが、TPP(Trans Pacific Partnership)。第14章「電子商取引」に思いがけない記述があった。

第14章 11条 情報の電子的手段による国境を越える移転
 2 各締結国は、対象者の事業の実施のために行われる場合には、情報の電子的手段による国境を越える移転を許可する。

第14章 13条 コンピュータ関連設備の設置
 2 いずれの締結国も、自国の領域において事業を遂行するための条件として、対象者に対し、当該領域においてコンピュータ関連設備を利用し、又は設置することを要求してはならない。

 金融分野は除くとか政府調達は別だとか書いてあって条件つきではあるものの、"Server Localization" ・"Data Localization" を否定する内容になっている。正直、これはすごいことだと思った。TVニュースの中だけのものだったTPPが自分の手元にも来たと感じた。

 改めてTPPを眺めてみると、多くの分野あってそのひとつが「電子商取引」である。その他上記の金融や政府調達はもちろん、投資・環境・労働などもある。分野横断事項というのもある。インターネット・エコノミーの話は、電子商取引に限定されないと僕は思っている。むしろ分野横断事項の重要項目ではないだろうか。
 

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 もっと言えば、本当に"Partnership" を円滑に運用するためには、"Digital Trans Pacific Partnership" が要るのではないかと思う。デジタルデータが自由に飛び交うだけでなく、その意味までもが共通認識である必要があるのではなかろうか。ある種のデータが先方から送られてきたが、先方はインチを単位として送ってきたが、こちらはメートル単位系と思っていた、などというトラブルは避けたいものだ。

 単に"Cross Border DATA Flows" を確保するのではなく、意味も含めて太平洋を囲みたいものだと思う。再交渉はしないと各国が言っている。もしするなら、"Digital TPP" に転化して欲しいと、NINJAは思うのです。
 
<初出:2016.7>