Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

Cross Border DATA Flows(1)

 以前Googleがデータセンターの電力を丸々オフにして、そのデータとタスクを丸ごと他の遠く離れたデータセンターに移す荒業をご紹介した。ITを使って何らかのタスクをすることは、地理的・物理的要素から徐々に離れていったのをご理解いただけたかと思う。

 21世紀になって、その極めつけが登場した。「クラウド・コンピューティング」である。サーバーもストレージも、みんな雲の上にあるという考え方。こういうことをやってとタスクを投げて、結果は手に入れることができるのだが、一体どの機器がどう動いてどこにデータがあって、ということはユーザは知る必要が無い(実際はだれにもわからない)コンピュータ利用方法である。これは、

(1)高速のネットワークが整備され、大量データの通信ができるようになった。

(2)サーバー・ストレージなど製品のコストが劇的に下がり、膨大な資源を利用できるようになった。

(3)資源管理の技術が進んで、実際の機器を意識しなくても「仮想化」された機器を使えばよいようになった。

 というのが原因である。当初、この技術についての反応は2通りあって、

(A)自分の使っている機器が見えていないから不安だ。
(B)結局やってくれるのなら、機器の面倒をみなくて済むだけ楽だ。

 と意見が分かれた。それでも、徐々に(B)の意見の方が強くなっていったように思う。何度も言うようにITの発展が早すぎるので、次々に新しい機器や技術を導入したり、それを扱えるよう従業員を教育したり、より効率的な組織に再編したりというので、多くの企業ユーザは疲れてしまったのかもしれない。クラウドに任せておけば、結果は出してくれるのだから。
 

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 こうして、ユーザのタスクやデータは意図せずしていろんなところに飛んで行き、もちろん国境を越えてしまうことも十分ありうるようになった。インターネットに国境は無い。IT屋が「勝手に国境を越えるデータ」に違和感を感じることはないが、違和感どころか怒りだす人もいたのだ。

<続く>