Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

Cross Border DATA Flows(2)

「勝手に国境を越えるデータ」については、さまざまな意見があるようだ。ただ、この手の問題はずっと以前からあった。RAID(Redundant Arrays of Inexpensive Disks)のディスクというものが開発されたのは、1990年ころだったと思う。
 
https://ja.wikipedia.org/wiki/RAID

 仕組みについては上記をごらんいただきたい。パソコンなどの機器を製造・販売しているものにとって、一番悩まされるのがハードディスクの故障。高速で回る円盤に非常に近いところに読み取りヘッドがあるので、稼働中に衝撃があるとヘッドが円盤にぶつかるなどして壊れてしまう。

 データは一番重要なものなのに、その記憶装置が壊れるとどうしようもない。稼動部分のない半導体メモリは、高価で並みの機器には使えない。そこで出てきたのが、複数のハードディスクを束ねて外部からはひとつのディスクに見せる技術。複数のディスクの少なくとも2箇所にデータが入っていれば、ひとつのディスクが故障してもデータは守られるというわけ。

 しかし、パソコンを使っている人が「あ、このファイルはこことそこに入れて、あれはもう不要だから消して・・・」などと操作しなくてはいけないようなら、面倒で使い物にならない。外部からはひとつのディスクに見えるということは、ディスクのどれとどれに今回のデータを格納するかは、機械が「勝手に」決めることになる。

 これは良いものができたとお客様のシステムに組み込もうと売り込みに行ったら、思わぬところからヨコヤリが入った。ある弁護士さんがRAIDの動作説明を聞いて「勝手にコピーするのですか。それでは対象データによっては著作権法違反が疑われますね」と言うのだ。もちろん、最終的に「違反」は免れたのだが、そういう視点でもチェックが必要なのだなと感じた。
 

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 Googleを始めとする検索サービスがあるが、これのスピードを確保するにはあらかじめ検索されそうな記事をユーザに近いところに持ってきておく、というテクニックを使う。物理的に持ってくるのではなく、コピーを採っておくということ。このコピーも著作権法違反だ、と言われたことがある。ウワサでは、日本でもGoogle同様の検索サービスを企画した企業があったが、著作権法のカベを回避できず断念したともいう。

 インターネットそのものも同じ事だ。インターネット上のどこかにあることは確かで、みんなそのデータを使うことができる。それだけでいいのではなかろうか。実際に、どこのデータセンターの何番目のストレージの何番目のスピンドルの何番目のトラックにあるということは・・・本当に知りたいですか?

<続く>