Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

どこか壊れた社会

 このところ韓国のニュースで明るいものが少ない。若者の失業率が20%を越え、自動車産業造船業の業績は月毎にひどくばらついて業界はその数値に一喜一憂している。主力の半導体産業も頭打ち、中国企業に激しく追い上げられている。20年前日本の半導体産業が頭打ちになり、人材も半島に流れていってすっかり元気をなくしていたのだが、そのデジャブである。

 

 5〜6年前までは時々ソウルにあそびに行っていた僕ら夫婦、面白い食べ物や安い物価に満足していた。その後38度線あたりがキナ臭くなり、香港から台北へと行き先を変えていたのだが香港は物価が高く中国政府の圧力が強くなって面白くない。台北も、現時点では38度線より台湾海峡のほうが危険かもしれないと思えてきた。一方のソウル、今の米中冷戦(といってもいいでしょう)の緊張感の中では、かの国の将軍様も無茶な事はできないから、直接的な攻撃はほぼ無くなったと見ていい。

 かつての冷戦にもいいところはあって、小さな紛争は親分(米ソ)がひとにらみで押さえてしまうので頻発しなかった。しかしベルリンの壁の崩壊、ソ連解体で緊張がほぐれると、眠っていた民族紛争・地域紛争がパラパラと出現している。そんなわけですこし安全になったソウルへまた行ってみるか、とホテル事情を探ってみると・・・。

http://news.livedoor.com/article/detail/15649783/ 

 え、刑務所ホテルだって?24時間滞在で1万円ほど、独房で過ごせるのがストレス解消にいいと評判らしい。1万円払えるのだから、利用する人は失業者ではないだろう。職を持ちそこそこのインカムもあるが日々の重圧に耐えられない、そんな人たちなのだろうか。

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 竹島問題はもちろん慰安婦財団解散や徴用工賠償判決など、日本を敵視する姿勢が度を越してきているが、そうでもしないと国内がもたないのかもしれない。それで支持率50%ちょっとを保っている文政権。うーん、朝から赤い粉と白い粉でソジュを飲んでいるオヤジがいた国でしたが、エリートも刑務所ホテルでストレス解消しなくてはいけないまできていたとは・・・。どこかひどく壊れてしまった社会のようですね。

 

<初出:2018.12>

「梅もと」のセットメニュー

 日本では大した話ではないが、ハロウィンの喧騒が終わった。欧米では直後からクリスマスムード一色になるが、この国ではそんなことはない。まあ、ボジョレー・ヌーボーが届いた云々程度のことである。気候としては、日差しがあるとまだ暑いと思うこともある。インディアンサマーだ。

 
 出先から東京駅に戻ったのが午後1時過ぎ、普通なら丸の内側に出るのだがランチがまだだったので八重洲側に出て見た。日差しが強くて、車内には冷房がかかっていた。上衣を脱いでいる人もいる。気温は盛夏の比ではないが、気分としてアスファルト上を歩くのは遠慮したい。それで地下街へ入った。
 
 午後の会議が待っているから、ちゃんとしたところで食べる時間はない。しかしお腹は空き気味だ。そんなわけで、八重洲地下街の入り口にある、「梅もと」に久し振りに入った。立ち食い蕎麦チェーンの中では劣勢のこの店、カンバンにでているワンコインランチは、その日の小丼とそば/うどん/ラーメンのセット。そば/うどんが510円、ラーメンが520円とお手頃ではある。

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 今日の丼は「海老天丼」。中サイズの海老天ぷらが2尾、軽くたれをかけてある。ラーメンの方もやや小ぶり、チャーシューではなくハムが1枚とわかめ、メンマがトッピング。スープは醤油味、は中細のちぢれ麺である。猫舌の僕には有難いのだが、スープがぬるめで通は納得しないかもしれない。麺が十分ほぐれていないのが、ちょっと減点。
 
 調理場は良く見えなくて、揚げ物をしているかどうかはわからない。海老天を食べた食感では、ここで揚げていないように思う。カウンター席が12ほど、立ち席が数席の小さな店だ。調理スペースも十分とれていないのだろう。
 
 隣のカレー店「ALPS」と並んで、ちょっと寂しい八重洲のワンコインランチ店である。いつも満席に近い状態なのですが、行列ができていたのは見たことがない。お手頃なのでちょっとの時間でランチを済ませたい人の需要を頼っているのだろう。ランチを楽しみたい人には・・・どうですかね?
 
<初出:2018.11>

小さな国の財政・交通政策

 欧州の歴史を見てみると、為政者のランキングとして、皇帝・王・大公というものがあることが分かる。おおむね施政範囲の規模によるもので、神聖ローマ帝国くらいのサイズを治めるのが皇帝、皇帝からある程度の土地を任せられたのが王、さらに小さな規模の土地を持っているのが大公というわけ。

 
 イギリス王室は王だからイングランドとかスコットランドは王が治めるべき規模だし、ウィーンの郊外に城を持つマルコ殿下は大公である。小さな規模の大公領であるが、今でもヨーロッパには3つの大公国が残っている。グランプリで有名なモナコ、一番小さな国と言われるリヒテンシュタインともうひとつがルクセンブルグ
 
 ルクセンブルグはベルギー・オランダと並んでベネルクス三国とも言われ、英独仏の境目にあたるので20世紀の2度の世界大戦では必然的に戦場になった。アバロンヒルのゲーム「第三帝国」では、年間5ポイントしか得られないルクセンブルグに宣戦布告するのに10ポイントもかかるので、ドイツプレーヤーとしては一切の戦力を持たないこの国に侵攻するかどうか、戦争経済学上大変悩むことになる。

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 この小さな国ルクセンブルグが有名なのは、国民一人当たりのGDPが高く世界第三位であること。小さな国だからだろうが、税制や法人政策で自由度が高く、国際金融機関などGDPに寄与する企業を誘致しやすい。財政の余裕がある国だからか、世界で最初に公共交通機関を全面無料にするとの記事があった。
 
 
 ここにあるように国外からの通勤客も多く、渋滞対策や環境対策で自家用車を減らしたい意図もあるという。多分交通機関の運営のうち、料金の回収にかかるコストも馬鹿にならないこともあると思う。欧州各国の公共交通機関では、ICカードの導入や改札口の廃止などが進んでいるが、今後は無料化に進んでいく一つの方向性だと思う。
 
 旅行者としての僕はタクシーは好きではないですが、公共交通機関の乗り方がそれぞれ違いがあって慣れないと利用しづらいのも困ります。もう欧州全部、市内の公共交通機関は無料にしてくれるとありがたいですね。
 
<初出:2018.12>

函館からの帰路

 帰りのフライトは12時過ぎ、ゆっくり定宿を出て空港に向かうのだが、寄り道をする時間は十分にある。できれば最後まで函館を満喫したいので、朝食兼昼食はいつもの「三色丼」を食べようと、函館朝市に行った。朝市を抜けていくとき、巨体の人たちがいる。どうも巡業に来た大相撲の力士たちらしい。


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 そんな障害物(!)をかきわけて、いつもの「どんぶり屋」へ。今回選んだのは、イクラカニ、マグロの三色丼。滞在中何度かマグロを食べて、ここのは美味いなと思ったのでマグロを選んだ。さて食べようかと思っていると、例の障害物(失礼)たちが三々五々やってきた。いろいろ注文した末に「大盛りってできます」という声が聞こえる。まあ、あの体格なのだから当然だよね。
 
 僕らの頼んだのが普通盛りなのだが、それを食べている力士もいる。その姿を見ると丼がコーヒーカップ程度に見えてくる。「どんぶり屋」さんがジャックされたような雰囲気である。駅前のバス乗り場で、20分に1本来る空港シャトルバスに乗り25分くらいで空港へ。ANAフェスタで使える金券があったので、今回はこれでお土産を一気に調達するつもり。カール・レイモンのソーセージや松前漬けなどを買った。

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 最近は縁が無くなったが、昔は飛行機に乗るまでもお酒を呑んでいたことがある。その店が空港3階にある展望レストラン「ポルックス」、北極星という意味らしい。ハーフのご当地「年輪ワイン」や焼酎のオンザロックを呑み、最後に塩ラーメンで〆ていた。メニューを見てみると、塩ラーメンが900円。当時750円だったから値上がりしているよね。どこがデフレだ。とっくに脱却しているではないか!
 
 「三色丼」は食べられたし、よっぱらってもいないので、快適に帰路に付けました。あの頃は若かったよねと思いながら・・・。いい夏休みでした。
 
<初出:2018.9>

司法制度改革のイシュー

 昨年は死刑の執行が多かった。一連のオウム事件の死刑囚を一斉に執行したこともあり、15人というのは近年のタイ記録らしい。それでも法務省は一つの目安としているらしい「死刑囚100人」を超えた110人が刑が確定しながら執行されない状態に置かれている。そういう年だったからと言うわけでもないが、本棚から青木理著「絞首刑」を引っ張り出して読んでみた。

 
 多くの先進国が死刑制度を廃止する中、日本がそれを存続させていることは他国からの非難の材料にもなっている。ただ死刑制度がない国には「本当の無期懲役」があって、「懲役/禁固300年」などという判決もある。どう考えても更生の道がない被告人には、死刑でなければこれしか対処する方法はない。
 
 一方日本の「無期懲役」は15年以上のものを言うから、減刑や恩赦などされると10年そこそこで出所してしまうかもしれない。減刑等が無くても、25歳で収監されたら40歳では一般社会に復帰することになる。再犯率が高い犯罪者だとすると、社会の不安は大きい。

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 だから15年の懲役以上の何かの刑があれば、死刑廃止もしくは死刑判決を減らすことができるのではないかと考えられる。そうしたら、昨年末ジャーナリストの江川紹子さんの面白い意見を目にした。
 
 
 なるほど「死刑の執行猶予」とは面白いアイデアである。現行法制では、執行猶予とは比較的軽い罪にしか適用されない。それを一番重い罪に持ってくるなどは、法律の専門家では思いつかないことかもしれない。僕も、江川さんの論旨に100%賛成と言うわけではない。執行猶予中の死刑囚が、助かりたいがために必死の演技を猶予期間中にするかもしれないなど、懸念事項はある。
 
 そうはいってもいいアイデアだから、是非法曹界で真剣に議論いただきたい。死刑と無期懲役の間隙が広すぎるのが、日本の刑法の課題だと思っていますので。
 
<初出:2019.1>