Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

ビクトリア駅からヒースロー空港へ

 ようやくロンドンでの会合も終わり、大汗をかいた公式日程は終了した。あとは無事に帰るだけである。ホテルに預けておいた荷物を受け取り、フライト上でリラックスできる服装に着替えた。外に出ると小雨が降っているが、これこそロンドン日和だと訪問先のイギリス人が言っていた。低い雲に保温されているせいか、気温8度。ブリュッセルよりも、ひょっとすると東京よりも温かい。


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 ホテル(Double Tree London, Victoria)の目の前が、ビクトリア駅。ロンドンからサセックス方面への長距離列車が出るところだ。途中、ロンドン第二の空港ガトウィックに寄ってくれるのだが、今回は用はない。表玄関のヒースローに行くのには、いくつか選択肢がある。地下鉄(チューブ)を使ってパディントン駅まで行けば、
 
 ・15分ごと出発のヒースロー・エクスプレスは、所要20分で27ポンド。
 ・30分ごと出発のヒースロー・コネクトなら、所要30分で10ポンドあまり。
 
 しかし、今回は時間に余裕があったので、ビクトリア駅から地下鉄に乗ってそのままヒースロー空港に向かうことにした。途中、ピカデリー線に乗り換える必要があるが、所要50分くらいで、5ポンドあまりかかるだけ。お得である。
 
 ディストリクト線に乗って2つ先のサウス・ケンジントン駅でピカデリー線に乗り換える。通勤電車の感覚であるディストリクト線と違い、ピカデリー線には大きなスーツケースを持った雑多な人種の人たちが乗っている。まあ僕もその一人、怪しげな東洋人である。
 
 列車はロンドン中心部を抜けると地上に出て、近郊電車のような車窓が楽しめる。どんよりとした空なので華やかさはないけれど。空港が近づくと、再び地下に。ターミナル1・2・3駅で、大勢の乗客と一緒に降りた。2年ぶりのロンドン、過密日程でスーパーマーケットを覗く気にもなれませんでしたが、いいですよまた来ます。
 
<初出:2018.1>

「チューブ」の終夜運転

 ロンドンっ子の足である「チューブ」こと地下鉄が、2路線で週末限定の終夜運転をするという。金曜・土曜の夜は時間を気にせず遊べると言うわけ。他の3路線も今年秋には終夜運転を始めると言うことで、期待は高まっている。これも都市政策のひとつだが、政策につきものの効果はというと「15年間で約100億円の経済効果、2,200人の新規雇用」が得られるという。

 15年間とは長い期間をとったものだが、要するに10億円くらいの効果では注目されないということだろう。注目されなければ市民の支持が(政策にも政治家にも)得られないということだ。雇用の2,200人というのは大都市ロンドンにしては小さい印象をもつが、それだけに信憑性があるのかもしれない。新規雇用はたとえ1人でも、重要な政策目標なのだ。

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 今回は「週末限定」ということなので影響は少ないかもしれないが、24時間稼動というのはシステムにとって難しいことである。まず、メンテナンスの時間が取れないのが気になる。稼動させながらのメンテナンスは、ものにもよるが一般に難しい。複数の機械が並行してサービスをしている場合は、1台を止めても他の機械がカバーしてくれる。銀行のATMコーナーで「お取り扱い中止」の表示が出ている場合があるが、故障もあるが定期メンテナンスの場合が多い。
 

 24/7というのは、常時サービス提供のキーワードになりつつある。シンガポールや英国で24時間/7日決済可能な金融システム導入が進んできて、日本でも追随する方向と聞いた。大都市では24/7のサービスが増えてきている。電力・通信・水道などは昔からだし、コンビニはもちろん、ホテル・外食チェーン・スーパーマーケット・フィットネス・タクシー・空港等々。

 逆に言うと、まだ24/7になっていないサービスも多いということ。行政・金融・バス・鉄道など、工夫の余地はまだ多く残されている。ロンドンの政策効果が本当なら、これらを24/7化すれば経済効果と新規雇用が生まれるはずだ。
 
<初出:2016.8>

意地悪なイギリス国境

 ブリュッセルでの国際会議が夕方5時過ぎに終わり、簡単なレセプションを終えて僕たちは空港へ向かった。翌日の午前中ロンドンでの会合が控えているので、夜のうちに海峡を渡っておく必要があったからだ。ホテルを訪問団体のビルに近いところで予約したのだが、これが空港から割合遠い。

 
 ブリュッセル空港のラウンジでビールを1本、簡単なおつまみと一緒に飲んで搭乗。ブリュッセル航空の小型機は、定刻の夜9時に離陸した。ヒースロー空港への到着は、同じく9時。これは大陸とイギリスの間に、時差が1時間あるから。足早にイミグレーションまで行くと、そこには予想通り長蛇の列。
 
 右側の「EU or UK」と書かれた列より、左側の「その他」の列は数倍長い。「British Border」と大書されたカンバンの下に多くの窓口はあるのだが、列はなかなか前に進まない。ひとりひとりへの質問が長くかかっているようだ。この空港では以前イミグレでひどく待たされ、結局明け方のヒースロー・エクスプレスの始発まで何時間か過ごす羽目になった経験がある。「Security is our FIRST priority」と書いてあるのが、ひどく恨めしく思ったものである。
 
 入国審査では、泊まるホテル、何泊するか、自分の所属などはもちろんのこと、訪問先の企業名や詳細な要件まで聞いてくる。これでは時間がかかるわけだと、うんざりした気持ちで応えた。

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 今回はなんとか1時間程度でイミグレを突破できたが、他の空港ではあまり経験しないほど待たされるという印象は強くなった。2人だったし、ヒースロー・エクスプレスが着くパディントンではなくビクトリア駅前にホテルをとったので、今回はタクシーを奮発。80ポンド(約12,000円)かかったが、明日の会合のことを思って早くチェックインしたかったから仕方がない。
 
 さんざん時間をかけさせられる「国境」だが、出国するときはパスポートコントロールはない。出る方はご勝手に、というわけ。合理的かもしれませんが、もう少し旅行者のことを気にかけてくれてもバチはあたりませんよ。
 
<初出:2018.1>

ベルギービールとコロッケ

 今回の欧州出張は、なかなか予定の詰まった2泊4日である。チェックインしたホテルでちょっとゆっくりしているうちに暗くなって、18時からディナーを兼ねた現地企業との打ち合わせに出かけた。クリスマスシーズンなので、イルミネーションが点いていて、はしゃぎまわる観光客も何人かいる。気温は3度。

 
 目指すのは、グラン・プラス北側のレストラン街。旅行ガイドブックなどではぼったくりの店が多いと注意喚起されるエリアだが、現地の人が案内してくれるのだから間違いはないだろう。直ぐにガラス天井の回廊「パサージュ」に入り、少し暖かく感じた。

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 クリスマスの飾りつけだろうが、巨大な金色の球体がガラス天井から下がっている。子供のころに田舎の街で見た七夕飾りを思い出させる。(寒いのがちょっと違う・・・)パリのパサージュは、昔いくつか歩いた。荒天でも楽しくショッピングできるように19世紀に流行ったもので、ベルギーの中でもフランス語圏であるブリュッセルにあっても不思議ではない。
 
 日本人2人、現地企業の人2人でウインドゥショッピングをしながらゆっくり歩いて、案内されたのはパサージュの端にあるベルギー料理店。狭いテーブルをはさんで、僕以外は大柄な3人だが、みんな窮屈そうに座った。メニューは、全部フランス語。ドイツ語メニューなら半分以上わかる僕も、これには閉口した。英語メニューもないというから地元の人向けの店で、ぼったくりの危険はないと安心はできた。
 
 昨年ここに来た時に飲んだビール「Leffe」があったので、まずはそれ。前菜には、微かに読めたコロッケを選んで一安心。「Leffe」は、アルコール度数7%程度と強めのビール。ベルギー南部のムーズ川沿いの修道院で10世紀から作られている黒ビールだ。

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 コロッケ2個は熱々、サラダを添えて出てきた。日本風にビールと揚げ物のコンビで選んだのだが、コクの深い黒ビールにオレンジがかったポテトを揚げたコロッケはなかなか良く合う。ドイツともイギリスとも違ったビール大国ベルギー。このあとはカマンベールで赤白のワイン(銘柄不明)に進んだのですが、印象深かったのは、「Leffe」でしたね。また飲みたいです。
 
<初出:2017.12>

ブリュッセルのノエル

 ブリュッセルはベルギーという小国(人口1,100万人)の首都だが、EU政府があることで政治的に大きな意味を持つ街である。僕自身も、昨年に続いて国際会議で訪れることになった。今回が3度目で、なぜか毎回12月のクリスマスシーズンばかりである。

 
 ブリュッセルへは、青い日系航空会社の直行便が1往復飛んでいる。現地着は15時過ぎ。日没は18時過ぎだが、どんよりと曇りすでに暗い。ホテルに着くと、ロビーにノエルが流れていた。ノエルとはフランス語で「クリスマス・キャロル」のこと。今回のホテルは利便性を考えて、中央駅の上に建つヒルトン。有名な場所グラン・プラスにも徒歩5分くらい。

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 日は短く、寒い(この日は最高気温5度、最低気温0度だった)から、クリスマスの華やいだ気分くらいないと、やっていられないのも確かだ。日が落ちてくると街中のイルミネーションが目立つようになってきた。パリのシャンゼリゼ通りや神戸のミルナリオのように派手なものではないが、柔らかいノエルの耳障りと併せてほっこりとした気持ちになれる。
 
 翌朝、日の出は8時半くらい。暗いうちにホテルのコンチネンタル朝食を済ませ、EU政府庁舎に近い会議場のホテルに向かった。朝が遅い国のようで、9時を過ぎても渋滞がひどい。一方通行も多くて、タクシーはなかなか進まない。こんなことなら歩けば良かったと無謀なことを考えているうちに、何とか到着。
 
 出迎えてくれたのは、EUとベルギーの国旗と、小さなクリスマス・ツリー。これから緊張する会議(もっぱら英語が聞き取れるかどうかが心配)なのですが、ちょっとほっとしましたね。
 
<初出:2017.12>