Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

半島のカタストロフィ(2)

 いわゆる6カ国協議では、常に「カギを握るのは中国だ」と言われてきた。中国が問題解決に本腰を入れなければ、事態に大きな進展は望めないことは確かである。その中国が、条件付きにせよ北朝鮮の国体を変化させてもいいと考えるようになったとしたら「半島のカタストロフィ」がやってくるかもしれない。では、中国・北朝鮮以外の4関係国の立ち位置を見てみよう。


 まずロシアだが、北朝鮮の核開発に協力しているとのウワサや、シベリア等に大量の労働者を受け入れていること以上の大きな関係はない。軍港があるクリミアやシリアほどの思い入れがあるわけでもない。もちろん米軍と鼻をつき合わせるのは困るから、38度線以北に米軍は置かないという統一政府なら仕方ないというのは中国と同じスタンス。
 
 次に米国だが、何も好き好んで韓国に駐留しているわけではない。休戦ラインの抑えとして「国連軍に近い存在がある」ことにのみ意味がある。韓国は守るべき同胞であることに違いはないが、東シナ海から南シナ海までのシーレーンににらみを効かせる沖縄とは重要性に差がある。核・ミサイルの件を除けば、北朝鮮という国にも特段興味があるわけではない。9・11後、ブッシュ大統領イラクに襲い掛かったのは「石油」の存在だったと言われる。北朝鮮にはそれに匹敵する「利権」はない。
 
 
 次に日本だが、核・ミサイルは当然困るが、統一国家ができて困ると言うわけでもない。近隣にあるというだけで、経済的な結びつきがそれほど深いわけでもないからだ。統一国家として簡単には立ち上がらないだろうし、その混乱期も含めて経済協力による関係強化に淡い期待がある。少し気掛かりなのは「拉致問題」。本来、核・ミサイルの脅威とはレベルの違う事案であるが、メディアの取り上げ方は同じ程度の扱いに見える。

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 最後に韓国。朴大統領が職務停止中で、次期大統領候補で一番人気の文氏は北朝鮮寄りの言動が多い。開城工業団地の再開や金剛山観光開発など、今の国際情勢では考えられないことを平気で主張している。原発停止と叫んで当選し半年経ったら「稼動容認」になる知事もいるので、文氏も選挙目的のリップサービスというのならいいのだが、本気で宥和政策を考えているのなら危ない。文大統領の「大統領令」で、米軍出て行けなどとなったら目も当てられない。
 
<続く>

半島のカタストロフィ(1)

 ただでさえ不安定な朝鮮半島情勢だが、金正男暗殺事件以来その緊張感は1レベル上がったように思う。仮に北朝鮮側の犯行だとして、TOPが命じたか否かにかかわらずその行動様式は理解できる。同国は「国体の護持」を第一目標にしているから、現体制への脅威となる要素の排除は重要ミッションである。

 史記三国志をひもとけば、覇王の親族というのは覇王にとっての脅威である。地方の国を分け与えていた兄弟を呼び戻して殺してしまう、などという話は中国4000年の歴史では日常茶飯事である。とはいえ、ここまでアナクロな「国体」が21世紀に存在することの方が驚異だも思う。


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 やれ水爆実験に成功したとか、弾道ミサイルの試射をしたとか、ただでさえ国際社会の「ならずもの」ぶりを見せ付けてきた彼の国であるが、友好国のマレーシアとのバトルを始めてしまった。事ここに及んで、さしもの中国の論調にも変化が見られると言う。

http://diamond.jp/articles/-/119004

 中国にとって都合が悪いのは、米軍が駐留している韓国と直接国境を接すること。そのための緩衝地域として北朝鮮の存在意義がある。したがって「経済制裁」といっても、本当に国体が無くなるようでは困るからある程度の交易は行ってきた。ただ石炭の禁輸措置は、今回は本当かもしれない。同国国内でエネルギー費用の高騰が始まっているようで、それなら実効ある措置だ。

 上記の記事のように、どうせ救えないならば韓国がナマでやってくるよりは「半島の秩序ある統一」が望ましい。38度線以北には米軍の駐留を認めない統一政府が出来れば、最悪の事態は免れる。現在中韓関係は冷え込んでいるが、そもそもの原因は北朝鮮のミサイル・核開発にあって、その防衛措置として最新レーダーシステムTHAADを配備されると中国領土まで丸見えになるのがいやだと、中国が韓国をいじめているからにすぎない。

<続く>

ワンコインランチ(日乃屋カレー)

 カレーといえば「CoCo壱番屋」と思っていたのだが、最近緑の大きな看板に「日乃屋カレー」と書かれたものを目にするようになった。神田カレーグランプリで優勝したことがあり、「始め甘く、後で辛く」感じるカレールーが売りだと言う。会社概要を見てみると、資本金300万円の有限会社、従業員は20名、フランチャイズ含めて現在49店舗を首都圏に展開している。

 
 いつか入ってみようと思っていたのだが、先日たまたま大塚駅前を通りかかって小さな店舗を見つけた。昼時にはやや早いので、まだ行列はできていない。店外の自動販売機で食券を買って、入ってみることにした。メニューはトッピングを選ぶ形、カツやメンチカツ、エビフライなどが200円、チーズとタマゴが100円というシンプルさ。本体は540円だった。(店によって多少違うとも聞いた)
 
 カウンター6席だけの小さな店、若いお姉さんがフライを揚げながらご飯を盛り、カレールウをかけている。厨房は割合広くとってあるようで、ワンマンオペレーションはスムーズに進んでゆく。やがて眼に前に置かれたのが、全面カレールウに覆われたお皿。

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 普通ご飯を片寄せして反対側にルウを注ぐと思っていたのだが、これはちょっと意外。セルフサービスの福神漬けとラッキョウを添えて食べ始めた。グランプリかどうかはともかく、駅そば店や先日の茅ヶ崎のお店より1~2ランク上なのは確か。ご飯の量もたっぷりあって、大盛り(+100円)にする必要はない。
 
 お客さんは全員サラリーマン風の男性、みんなものも言わずに食べていた。カウンター6席だけなので回転が重要、忙しい外回りサラリーマンには適切なランチ。僕以外はみんな大盛りにしたり、何らかのトッピングを乗っけていた。1回食べると100円トッピング無料券が貰え、2枚で200円トッピングが無料になるようです。要するにまた来い、ということですね。
 
<初出:2018.6>

初めての「Cebit」(3/終)

 「Cebit」は世界最大のICT関連カンファレンスであるが、今回目立ったのはドローンやロボット。レシプロ航空機が既定の空域を飛ぶ正確性や速度を競うエアレースというものがあるが、そのドローン版をするフィールドが設定されていて、2重のネットの中をうなりを上げてドローンが飛び交っていた。その付近では大小まちまち、いろいろな形状をしたドローンが展示され、商談が活発化している。


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 もうひとつ目立ったのは自動車関連の展示。ひとつの建物の中では、その半分くらいを使って「自動運転車」の試乗会をやっていた。屋内に小規模とはいえテストコースを作って自動車を走らせるのだからいやでも注目させられる。この建物と隣の建物では、大手の自動車メーカーや部品メーカーがブースを開いて集客に余念がない。
 
 それもクルマという物理的なものを売り込むのではなく、移動手段というサービスを提供するというスタンスが多いと感じた。部品メーカーすらも、安心・安全・快適な移動をサポートする弊社の製品というスタンスだった。
 
 もうひとつ、一番驚いたのは軍用車両の展示。迷彩服姿の男が屋外でタバコを吸っていたから、警備関係者だと思った。しかし、続々出てくるし女性も混じっている。武装している様子もない。不思議に思ってその建物に入ると、暗緑色中心の迷彩を施した軍用車両に出くわした。

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 運転席が開放されていて、来場者が嬉々として乗り込んでゆく。6輪の装輪装甲車で、目立った武装はなく上部にアームにのっけられたドームが付いている。「KWS RMB/Transportpanzer」と説明表示がある。どうも通信用車両のようだが、単純な通信だけでなく敵側の通信を傍受したりジャマーを含む電子戦を行う車両ではないかと思う。
 
 ひょっとすると「HUMMEL」の名前で知られる電子戦用車両かもしれない。第二次世界大戦のおりドイツ軍が開発した大口径自走榴弾砲に同じ名前が付いていたので、特に記憶しているものだ。ちなみに「HUMMEL」とは「マルハナバチ」のこと。
 
 ついに軍隊まで、ICTカンファレンスに展示をするようになったのかと驚きました。確かに電子戦でC3Iを封じることが出来れば、近代戦では圧倒的に優位に立てます。その技術やノウハウを、民間転用できる可能性は高いです。国内で「サイバー・ウォーフェア」の議論が始まっていますが、軍事的緊張のある国と日本では意識に大きな差があります。また勉強に行くことになるでしょう。
 
<初出:2018.6>

初めての「Cebit」(2)

 先日お台場の国際展示場で、ある国の展示ブースに行って会合をした。国内のイベントも久し振り、多分10年以上のブランクがあっただろう。その規模の大きさに驚いたものだった。適当な招待券を出したら、それは別棟の受付でないと入場券に替えられませんと言う。ぶつぶつ言いながら往復するだけで、20分以上ロスした。あげく受付のところで名刺を出したので、その興味のない業界のイベント案内が頻繁にくるようになってしまった。

 
 しかし「Cebit」の規模は、そんなものではなかった。案内図を見て、「ふーん、7~8の建物があるのね」と思っていたが、ひとつひとつの建物の大きさが想像を超えていた。中央には観覧車も、大きな野外ステージもある。そこいらじゅうにハンバーガーやドリンクの屋台が出ているし、常設レストランも一杯ある。
 
 先日のお台場イベントでも、企業に混じって韓国、イスラエル、オランダなどの国(大使館)がブースを出していた。「Cebit」ではより大規模にいろいろな国がブース開いてアピールしていた。画像は入ってすぐの場所に立ちふさがっている、地元ニーダー・ザクセン州のブースである。連邦国家ドイツでは、州政府が事実上の国家、自ら産業振興・市場開拓に積極的だ。
 
 「Made in Russia」と掲げたブースでは、サイバーセキュリティの能力を強調、ソフトウェア製品中心の売り込みに懸命だ。「おーい、どこの国が攻撃の首班なのかわかっているのか?」と思ったが、それを口に出して言えるほどの勇気はない。

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 インドのブースも広い。日本(政府)のブースは、危うく通り過ぎそうになるほど目立たない。中国のブースはほとんどひとつの建物の半分近くを占めるくらいだ。米国との貿易戦争になってしまった中国にとって、欧州は最大の期待市場である。
 
 そして、企業として最大のブースを出していたのは「HUAWEI」。巨大な建物の全幅、奥行きの1/4ほどを占めていた。来場者にも中国人が多いのもうなづける。
 
<続く>