Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

初めての「Cebit」(3/終)

 「Cebit」は世界最大のICT関連カンファレンスであるが、今回目立ったのはドローンやロボット。レシプロ航空機が既定の空域を飛ぶ正確性や速度を競うエアレースというものがあるが、そのドローン版をするフィールドが設定されていて、2重のネットの中をうなりを上げてドローンが飛び交っていた。その付近では大小まちまち、いろいろな形状をしたドローンが展示され、商談が活発化している。


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 もうひとつ目立ったのは自動車関連の展示。ひとつの建物の中では、その半分くらいを使って「自動運転車」の試乗会をやっていた。屋内に小規模とはいえテストコースを作って自動車を走らせるのだからいやでも注目させられる。この建物と隣の建物では、大手の自動車メーカーや部品メーカーがブースを開いて集客に余念がない。
 
 それもクルマという物理的なものを売り込むのではなく、移動手段というサービスを提供するというスタンスが多いと感じた。部品メーカーすらも、安心・安全・快適な移動をサポートする弊社の製品というスタンスだった。
 
 もうひとつ、一番驚いたのは軍用車両の展示。迷彩服姿の男が屋外でタバコを吸っていたから、警備関係者だと思った。しかし、続々出てくるし女性も混じっている。武装している様子もない。不思議に思ってその建物に入ると、暗緑色中心の迷彩を施した軍用車両に出くわした。

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 運転席が開放されていて、来場者が嬉々として乗り込んでゆく。6輪の装輪装甲車で、目立った武装はなく上部にアームにのっけられたドームが付いている。「KWS RMB/Transportpanzer」と説明表示がある。どうも通信用車両のようだが、単純な通信だけでなく敵側の通信を傍受したりジャマーを含む電子戦を行う車両ではないかと思う。
 
 ひょっとすると「HUMMEL」の名前で知られる電子戦用車両かもしれない。第二次世界大戦のおりドイツ軍が開発した大口径自走榴弾砲に同じ名前が付いていたので、特に記憶しているものだ。ちなみに「HUMMEL」とは「マルハナバチ」のこと。
 
 ついに軍隊まで、ICTカンファレンスに展示をするようになったのかと驚きました。確かに電子戦でC3Iを封じることが出来れば、近代戦では圧倒的に優位に立てます。その技術やノウハウを、民間転用できる可能性は高いです。国内で「サイバー・ウォーフェア」の議論が始まっていますが、軍事的緊張のある国と日本では意識に大きな差があります。また勉強に行くことになるでしょう。
 
<初出:2018.6>