Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

初めての「Cebit」(1)

 最後にコンピュータカンファレンスに行ったのは、もう25年ほど前になるだろう。ラスベガスで毎年秋に開催されていた「COMDEX」だったと思う。かつてはそれそのものは何も芸をしないメインフレームが中央に鎮座していて、先進的なコンピュータ技術に皆が群がっていたこともある。その後、ワークステーションやPCに注目が移り、主役はソフトウェアやサービスになっていった。

 
 僕自身の仕事もモノづくりから離れてデジタルサービスの普及になっていったので、このようなショウには行かなくなったのだ。「COMDEX」は今では開催されず、台湾で開催される「COMPUTEX」にも行ったことはない。この2つを上回る規模(床面積約45万平方メートル)なのが、ドイツのハノーファーで毎年春に開催される「Cebit」。
 
 これもずいぶん前から存在は知っていながら行く機会はなかった。春(時には3月初め)の北ドイツは寒いこともあるし。それが今回初めて訪問することになったのは、「CeBIT」そのものが目的ではない。その会場で国際会議が行われることになったからだ。

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 なんとか取れたホテルとフライトで、前夜に現地入りすることができた。あらかじめ調べておいたトラムの路線図から行き方を決め、翌朝最寄駅で1日乗車券を買って展示会場に向かった。中央駅近くで乗り換え会場北口が終点の8号線で、40分近く乗っていった。トラムの中はビジネスマン風の人たちがほとんど。人種はまちまちである。中国人と思しき4人連れが声高に何か話していたが、そのうちの一人が寄って来て、英語で「この列車でCebit会場に行けるか」と聞く。「そうだ、僕も終点まで行く」と応えると嬉しそうな顔で戻っていった。
 
 入り口で会場の案内図をもらった。一番知りたいのは国際会議の場所なので、霞ヶ関から聞いていた建物の名前をインフォメーションデスクで聞くと、入り口に近いビルを示してくれた。そこを確認してからうんざりするほど広い会場に足を踏み入れた。
 
<続く>

「IS」がアジアに

  隆盛を誇ったIS(イスラム国)も、イラク第二の都市モスールでは封じ込められ、シリアの最大拠点で首都とも位置づけるラッカの陥落も近いと報じられている。中東における攻勢はしばらくありえないだろう、という観測は正しい。しかしエリアを失おうともその思想を根絶するのは無理な相談で、また違うところで頭をもたげつつある。

 ひとつには、アフガニスタンアレクサンダー大王東征以来、紛争の絶えない地域である。かつての大英帝国も、ソ連もかの地で手痛い敗北を喫して国力を弱めた。このところ旧アルカイダ勢が息を吹き返してきて、紛争が激しくなっている。ドイツは難民のうちで、母国が安全になった場合には送り返す(強制送還!)ようにし始めたが、アフガニスタンへの送還は一次停止している、


 もうひとつはフィリピン。ドゥテルテ大統領の地元ミンダナオ島は、昔から扮装地域である。比較的キリスト教徒が多く、少数派のイスラム教徒はしいたげられてきた過去がある。ミンダナオ島を独立させようという武装勢力もいて、これが資金源として麻薬などに手を出した関係でダバオ市長だったドゥテルテ氏が鎮圧にあたったわけである。

 隠れるところの少ない中東の砂漠と違い、ミンダナオ島はジャングルが深い。ゲリラが活動するには適当な地勢環境である。ISの残党と思しきヤカラが入ってきて、元からいる武装勢力と一緒になってテロを始めたのが数カ月前。しばらく前に、ドゥテルテ大統領は島内に戒厳令を布いた。事実上の内戦状態である。


 先日の政治討論番組で、識者が「インドネシアもマレーシアもバングラデッシュも、イスラム国家である。潜在的なISの入る余地はあるが、いじめられているイスラム教徒ということでは、フィリピンとミャンマーがISの目標だろう」と言っていた。それなりの権利が認められていれば、イスラム教徒はむしろ穏健な宗教だと彼らは言う。追い詰められると、本来の教義を外れたIS思想にかぶれ易いということだ。

 

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 僕自身過去6~7年ミャンマーへ何度も足を運び、現地のICT教育に協力してきた。日本に来るミャンマーの人たちともよく会っている。しかし、ロヒンギャの話は報道されるまで聞いたことがない。正直一般のミャンマー人の意識にはないようだ。

 
 スー・チー政権もロヒンギャの扱いには困っているようで、扱いを間違えると政権は揺るぎかねない。外国の支援が無ければ政権はもたないし、人権問題を解決できなければ支援は細ってゆく。さらに本来は大人しいロヒンギャの人たちがISに感化されて武装蜂起でもすれば、再び軍事政権が息を吹き返す。

 中東でISを叩いても、それはヨーロッパのテロやアジアの紛争につながるだけ、という厳しい見方もできるだろう。ミャンマーも有望なフロンティアだと思って日本企業も支援をしてきたが、その努力が無にならないように祈っています。
 
<初出:2017.7>

事実はミステリーより奇なり

 いまどきこんな小説を書いて懸賞に応募したら、

 「カビの生えた設定で、とても新人のフレッシュな作品とはいいがたい」

 「横溝先生への傾倒はわかるが非現実的で、読者に受け入れられるものではない」

 「70年ばかりタイムスリップさせてもらって有難う。皮肉だが」

 

 などと割合温厚な選考委員からも酷評されるのは目に見えている。そんな事件が、国民的にも有名な富岡八幡宮宮司の一家に起きた。


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 古来の日本人の魂という人もいる日本刀というアナクロな武器を使っていることや、首や胸など急所を狙う残忍な手口、犯行後共犯の妻をも殺し自殺するという展開等々どれをとっても信じがたいことばかりだ。あげく、怨霊となり祟り続けるという脅迫状まででてきた。今後、深川八幡祭りが挙行できるかさえ危ぶまれている。

https://www.nikkansports.com/general/news/201712120000153.html

 一度は宮司になりながら素行などが悪くこれを解任されたことへの逆恨みが原因・動機と思われる。宮司解任などという事態も、本来格式を重視する業態であるから異常なことだ。
 
 日本社会では、血縁の家制度、地縁の檀家制度などが崩壊しているか、しつつある。神職と言われる家系やその傘下の組織も危うくなっているのだろう。NINJAの父親も、地元の神社への協力・奉仕を80歳近くまで止めなかった。

 この事件、古い日本の「終わりの始まり」のような気もするのですが、考えすぎでしょうか?それとも、僕が怨霊に祟られる?
 
<初出:2017.12>

禁酒日のディナー(日高屋)

 元来お酒は大好きだし、若いころは何かの機会があれば飲みに行くというのがビジネスの常識だった時代でもあった。当然のように、飲酒量は増えていく。30歳代半ばで、最初に人間ドックなるものに行ったところ、「肝臓がお疲れですね」とのご託宣。さもありなんと考え、二次会で飲んでいたストレートのバーボンをオンザロックに替えた。

 
 これで1年後に改善するのだから、若いということは恐ろしい。それでも3年目には再び「黄信号」。やむなくバーボンを水割りにして、また改善。これが30歳代後半の戦いの日々だった。40歳を越えて、2年ほど断続的に独身寮暮らしをする羽目になった。
 
 人生の先輩や大学時代に知り合いによると、この時期の一人暮らしは健康の分かれ目だということ。福岡に赴任したある人物は食べ物がおいしくて体重コントロールに苦しんだというし、奥さんの目が届かないので酒量が増えたり同じものばかり食べていて健康を損ねたという人もいる。
 
 そこで一念発起、「休肝日・禁酒日」を設けることにした。思いはいいのだが、次はその実行手段である。なるべく夕方の会合や来客が少ない曜日を選んで、まず予定を立てる。次に何を食べるかを考えたが、お刺身やフライものだとお酒やビールが欲しくなる。牛丼やハンバーガーでは味気ない。そこで「中華料理」に落ち着いた。

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 写真は、今でも禁酒日に時々利用している熱烈中華食堂「日高屋」の「野菜炒め定食」。本当はいけないのだろうが、お酒を飲まない日には、ご飯くらいはしっかり食べたい。ご飯のありがたさをかみしめるのも、禁酒日のメリットです。
 
<初出:2017.3>

ゆうちょ銀行の預金限度額

 時の人である野田総務大臣、新任早々メディアに引っ張りだこにされている。総務省の一部が旧郵政省で、彼女の最初の閣僚職が郵政大臣だったことは一昨日述べた。小泉改革の象徴だった「郵政民営化」は、僕らから見ると当然のことだった。2000年当時、日本中のATM(現金自動預け払い機)は約15万台あったが、郵便局設置のものが2万台以上あってシェア1位。都銀が3つ合併したメガバンクですら足元にも及ばない数である。
 
 それが郵便局のATMだけは、使用手数料が無料である。それだけでも、民業圧迫と言えるだろう。世襲の公務員と言われた「郵便局長」ポストも、改革の結果民営化され株式会社組織の一部になった。ただ、相変わらず民間金融機関との違いは存在する。顕著なのが、ゆうちょ銀行の預金預入額の上限。
 
 一般の銀行には預け入れ限度額はないが、ゆうちょ銀行にはある。かつては1,000万円、昨年引き上げられて1,300万円になった。2,000万円という話もあったのだが、揺り戻しがあって半端な数字に落ち着いている。僕はある国際会議で、西室社長(当時)が「ゆうちょ銀行こそ、日本を代表する地域に根差した金融機関である」と米国金融界に言い、同席していたメガバンクの幹部が気色ばんだのを覚えている。西室氏はその会議に「東芝顧問」の肩書で来ていたのに、またゆうちょ限度額引き上げ議論の最中だったのに、である。

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 株式会社とはいえ多数の株式を政府が持つゆうちょ銀行には、暗黙の政府保証があると見られている。銀行が倒産した時は、ペイオフという制度があって預金のうち1,000万円までが保証される。明示はないが、これが民間銀行の預金限度額ととらえている利用者は多い。
 
 ゆうちょ銀行の預金限度額と、ペイオフ額に法的な相互性はないが、利用者からは「安全な限度額」という意味で一緒に考えることもできよう。メディアも興味を持つこのテーマ、早速新大臣に質問した記者がいるようだ。
 
 
 野田大臣の「民営化したのだから平等な立場で、限度額撤廃というのも考えられる」というのは、ひとつの考え方だ。ただ、それならば、ゆうちょ銀行にもペイオフ限度1,000万円にシーリングを設けるべきだ。そして、一般銀行と同じように、倒産の定義をはっきりさせ政府(税金)からの無限補填はしないと明示する必要がある。
 
 大臣が言ったことの一部を切り出すのがメディアの常、この発言のウラに僕の言うような意識があって欲しいものだと思います。
 
<初出:2017.8>