2年ぶりに京都へ行く機会があった。用事そのものは、「けいはんな」という京都・大阪・奈良からほぼ等距離のところに作られた国際研究都市での会議だった。会議は9時スタート、とても当日移動では間に合わないので前日泊にしなくてはいけない。しかし、東京での会議も夕方まであるので現地まで行くと遅くなってしまう。
そんなわけで、京都駅前に宿をとった。ホテルへのチェックインが20時過ぎになり、小雨も降り始めた。そこで駅地下街(Porta)に逃げ込んで、夕食の店を探すことにした。久しぶりの「孤独のグルメ」である。
ちなみに原作の「孤独のグルメ」は読んだことがなく、TV版も飛行機の中で見ることくらい。それでも少し文句は言いたい。せっかく面白そうな店を紹介してくれるのだが、主人公が下戸でお酒の紹介がないのが気に入らない。最後に原作者が出てきて「ふらっとクスミ」と称してビールなど飲んでいるが、極論をいうとあのコーナーだけでも僕にはいいくらいだ。
閑話休題。さて京都で(しかも駅前地下街で)何を食べるかだが、全国チェーンのような店ではつまらない。やはり、京都ならではのものの片りんくらいは味わいたい。しかし大阪の串かつや名古屋のみそ煮込みうどんのような強烈なものは、京都では思いつかない。
そこで、「京のおばんざい屋」というところに入った。種々のおばんざいが一皿300円。まず、ちりめん山椒と、米焼酎「山せみ」を一杯注文する。この焼酎、宮崎と鹿児島の県境に近い「尾鈴山酒造」の一品である。
続いて(これもおばんざいの)小芋煮と、牛すじ煮込みを頼む。いずれも薄口ではあるが、味わい深い。最後に少しお腹にたまるものとして、焼き豚の九条ネギ添えを食べた。九条ネギは煮込みにも添えてあったが、食感や味は普通に関東で食べているネギと変わらない。
<初出:2016.11>