那覇から国道58号線に沿って北へ向かう。安謝(あじゃ)天久(あめく)くらいはともかく、勢理客(じっちゃく)なんか読めないよねと地名を珍しがっているうちに浦添市に入る。「てだこの街浦添」と書いた碑を過ぎると左手に広大なスペースが広がっている。トランプの壁ほど強固ではなく単にフェンスが一重に張られているだけだが、立ち入り禁止の看板がものものしい。
浦添市のおおむね58号線の東側全てを占めているのが"Camp Kinser"、牧港補給基地である。北の端にはホームセンター「メイクマン本店」があるし、南の端にはプロ向け食材店「A-price」があるので、沖縄滞在中は何度かここを通る。
最近の米軍はそのような大戦争は行っていないし、今後もその可能性は低いと見て組織そのものも師団(1万人くらいか)を解体し2,000人くらいの"Combat Group"に再編しているくらいだ。大量の物資集積基地は、ほぼ用済みと思っていい。嘉手納以南の基地を徐々に返還するというのも、"Kinser"の場合は県民への思いやりと言うより不用品の除去目的が大きいだろう。
ここは攻撃ヘリや輸送ヘリなどが頻繁に離着陸し、編隊飛行の訓練もしているアクティブな基地だ。先日空中給油訓練中に事故を起こしたオスプレイは、ここに戻るのを危険と判断して辺野古に向かい途中で不時着した。あの時の米軍司令官の不遜な態度はいかがなものかと思うが、住宅密集地の基地に戻ることをあきらめ傷ついた機体をより遠くの辺野古へ向かわせたパイロットの行動には敬意を表したい。
普天間基地には、出入り口が北と南に2つあるようだ。画像は南の出入り口、小さな公園になっていて低い望楼のようなものがある。登ったが、さすがに枝葉が茂っていて基地内を見通すことはできない。ちなみに北の出入り口は普天間宮の傍にある。
宜野湾市・沖縄市・北谷町・北中城村にまたがる広大なエリアを占めている。以前紹介したイオンモール沖縄ライカムという巨大ショッピングモールは、"Camp Foster" の一部であった米軍専用ゴルフ場が返還され、その広い敷地を開発したものである。
普天間宮に近いところに米軍住宅と思しきものが建っていたが、それを徐々に取り壊している。古くなったのだろうが、このエリアの返還の準備であるなら良いことだ。北谷の方に進むと右手が全部"Camp Foster"である。フェンスの向こうには、さまざまな軍用車両が並んでいる。珍しいのは、数え切れないほどのスクールバスの群れ。今も時々街中で出くわすが、米軍人の子供たちのため専用のスクールバスがプールされている。
それにしても、往時はこんなにたくさんのバスを使うほど子供がいたのかと驚かされる。少しづつ返還とその準備が進む「嘉手納以南の米軍基地」。国道58号線は、その真ん中を走っている。
<初出:2017.3>