Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

普天間基地の危険性

 MV-22オスプレイが、名護で不時着した。海上だったので巻き添えになった人はおらず、搭乗員2名が負傷しただけらしい。防衛大臣が「遺憾だ」と言うのはいいとして、いつかは来ると関係者は分かっていた事故である。

 
 もう何年も前になるが「朝まで生テレビ」の新年特番で、森本先生(この放送の後、防衛大臣に就任)が普天間基地問題の議論の中で、オスプレイの写真を出して見せたのを覚えている。当時ここには大型ヘリとして「CH-53Eシースタリオン」が配備されていた。

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◆CH-53E(大型輸送ヘリコプター)
 ・初飛行 1964年
 ・機内積載量 13.6トン
 ・巡航速度 278km/時
 ・航続距離 1,833キロメートル
 ・要員 5名(乗客最大55名)
 
 20世紀の輸送ヘリコプターとしては十分な性能を持っていたが、型式も古く機種更新が必要だった。そこで米軍(ここでは海兵隊)が選んだ後継機が、MV-22オスプレイだった。
 
◆MV-22(ティルトローター機)
 ・初飛行 1989年
 ・機内積載量 9.0トン
 ・巡航速度 446km/時
 ・航続距離 3,590キロメートル
 ・要員 4名(乗客最大32名)
 
 森本先生は普天間基地辺野古への移設を急ぐ理由として、オスプレイの配備が迫っていることを告げた。その意味は僕にはわかった。ティルトローターという方式は、回転翼(ヘリ)状態で離着陸もしくはホバリングできると同時に、固定翼状態で通常のレシプロ機のように飛行できる「ハイブリッド」機である。
 
 長い滑走路を必要としないから、利用用途は大きい。数年前の大島の災害の時も日本の自衛隊は狭い飛行場に悩まされ小型機をピストン輸送して現地対応に大童になった。一方一般のヘリよりは速度が速く、戦闘となっても生き残る可能性が高くなる。いいとこどりなのだが、問題はハイブリッドであることそのものにある。回転翼状態から固定翼状態に移るときもしくはその逆のときに、飛行形態として不安定になる瞬間があるのだ。試作時代から離着陸時の事故が多発し「未亡人製造機」と呼ばれたのは、そこに原因がある。
 
 それが大挙して(現在24機)普天間基地にやってくる。その周辺は世界中のどの基地にも増して住宅が密集している。離着陸時に事故を起こし周辺住民に犠牲者が出たら、日米関係は危機に陥る。森本先生は、そう言いたかったのだろう。米軍は老朽化したシースタリオンの後継機を他に持たない。従って、オスプレイの配備を止めることはできなかった。唯一の解決策と森本先生が述べた「辺野古移設」も思うように進まないまま、来るべきものが来てしまったと思う。
 
<初出:2016.12>