Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

使える核兵器

 人類が「核の火」を手に入れてから、70年余りが過ぎた。原子力発電などの平和利用もあるが、人類を何百回も絶滅させることのできる量の核兵器が地上にあることも事実である。幸か不幸か、核兵器が実戦で使われたことは1945年の2度しかない。その後兵器の威力はどんどん増し、幾度かの実験を経てその威力を世界は認識することになった。

    f:id:nicky-akira:20190411214528j:plain

 世界市民核兵器に対するアレルギーは非常に強く、これを使うリスクは軍事的なものだけでなく政治的なもの大きい。核兵器の強みとは、その威力である。1つの都市を消滅させるのに空爆、砲兵射撃、戦車や機動歩兵の侵攻となれば時間もコストもかかる。これを省いてくれるのが核兵器の威力である。陸海空軍の通常戦力を強化するよりは、核戦力を強化した方が安上がりだった時代はあった。
 
 しかし国と国との全面戦争の公算が減り、紛争の大半は「Low Intensity Conflict」という非正規戦争の時代に入った。そうなると核兵器の意味は薄くなる。イスラム国に戦略核兵器の効果は少ない、という例を見ればよくわかる。最近は核兵器の維持・管理のコストが相対的に上がって、得でない兵器になってきたから米露も核軍縮に動いたのである。そんな中、トランプ先生がまたやってくれた。
 
 
 戦略核兵器は威力が大きくて、国際世論の反対もあるから事実上使えない。しかし威力を絞った戦術核兵器なら、実際に使えるというわけ。しかし本当に維持・管理コストまで含めて「お得でかつ使える」兵器なのだろうか?通常兵器でもバンカーバスターデイジーカッターというすさまじい威力のものを米軍は持っているし、地域の酸素を奪ってしまう気化爆弾というものもある。
 
 トランプ先生のこの発言、核ミサイルというおもちゃを手の上で転がしている「ロケットマン」に対しての、単なる脅し/いやがらせの類だと思うのですが。
 
<初出:2018.2>