Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

ボー・リバージュ

 かなり前だが、一度だけ「ベルナー・オーバーラント」へ行ったことがある。スイス中央部、アイガーやユングフラウを含む山岳地帯だ。その入り口の街がインターラーケン。ベルナー・オーバーラント観光の拠点とする人が多い。インターラーケンの名の由来は、湖(ラーケン)の間(インター)にあること。2つの湖が接するところに位置し、このあたりでは珍しく平地部分があるから、昔から栄えたのだろう。
 
 インターラーケンそのものは小さな町だ。西駅と東駅の間には、土産物屋、レストラン、ホテルが並んでいる。十分歩ける距離だ。その時は、東駅に近い「ボー・リバージュ」というホテルに4泊した。インターラーケンでも高級なホテルらしく、実に優美な造りで嬉しくなった。
 
 当時はまだキッチン付きホテルで「暮らす」気分を経験しておらず、目的はベルナー・オーバーラントのいろいろなところを周ることだった。チェックイン当日にはインターラーケンの裏山にケーブルカーで登った。季節は夏で、午後6時を過ぎても明るい。この一帯は、高山鉄道、ケーブルカーなど僕のような乗り物好きには天国のようなところである。
 
 4泊の間、グリンデンバルトやミューレンなど、この地域の乗り物を満喫するのとハイキングをして過ごした。一度だけ入ったこのホテルのレストラン、そのディナーは、忘れられないものになった。その見た目、味、その醸し出す雰囲気・・・どう表現していいかわからない。並みのレストランとは次元の違うものだった。(お値段も相当だったが)

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 それから10年あまり、ジュネーブに行く機会があって市内を散策する時間が少しとれた。レマン湖のほとりを歩いていて、懐かしいホテルの名を見つけた。そう、ボー・リバージュ。テラスに並んだゼラニウムの花壇が美しい。やはりスイスのこの街にもあったのだと思ったが、列車の時間が迫っていた。もう一度、あのディナーを食べてみたい。そう思いながら、帰路についた。
 
<初出:2016.8>