新橋駅前といえば、ＳＬ広場、ＴＶインタビュー、酔客が挙げられようが、僕が気になるのは街宣車である。ＪＲ線を新橋で降りて、霞ヶ関へ向かうことが時々ある。メトロ銀座線で虎ノ門までという選択肢もあるが、よほどの大雨や猛暑、極寒でなければ健康のために歩くことにしている。内閣府機構の一部などは首相官邸の裏、溜池山王駅に近いところにあるが、それでも２駅だから時々は歩く。
ＳＬ広場の先に、かなりの頻度で「ｘｘ新聞社」などと書いた黒い大型車が止まっている。「救国」とか「大和魂」とか派手な文字が並び、威勢のいいオジさんたちが車の上で演説をしている。大音量で古い歌を流していることもあるが、多くの人は気に留めないで通り過ぎてゆく。
中国や北朝鮮などが多いが外国の脅威や格差など内政の行き届かないことを述べているが、こうしたらいいという提案はあまりないようだ。まあ、"USA First" の大統領や"France First" の大統領候補がいる国際社会の中では、こういう人たちがいるのは無理からぬことだろう。
などと思いながら霞ヶ関に向かって歩いていく。霞ヶ関に近づくと、時々白い大型トラックの隊列に遭遇することがある。これも一種の街宣車。軍歌など流していることもあるが、演説ナシで走って（というより練り歩いて）いるだけで主張は明らかである。
しばらく前は「皇太子殿下が立たれる」と書いたあったのだが、その後「なぜ立たれぬ、皇太子殿下」になり、現在は画像のよう。相手は天皇陛下になり、最終警告とある。文言のエスカレートは行きつくところまで行ったので、この次はどうするつもりなのだろうか。
「天皇の生前退位」はどうやら決まったようだが、ある高齢の方が引退したいとおっしゃっているのをＯＫするのにかくも長い時間と多くの政治的労力がかかった。イデオロギーというのは時代の遺物だと思っている僕には、わからないことだ。え？天皇家や日本国の国体はイデオロギーなどという安っぽいものではないとおっしゃるのですか？それも含めて、僕には理解できません。
＜初出：2017.5＞
