Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

昭南島の宇宙基地

 前回、マレー沖海戦で日本軍をとどめる可能性のあった2戦艦の最期を紹介した。制海・制空権をとった日本軍はマレー半島を南下、シンガポールに到達する。ここはイギリスの東洋における最大重要拠点であり、ヒトラーも同盟国である日本に求めたターゲットであった。
 
 ここを占領した日本軍は、島の名前を「昭南島」と(勝手な話だが)改めた。東に南シナ海、西にマラッカ海峡、マラッカを抜ければアンダマン海が広がっている。インドは指呼の距離にすら思える要衝である。付近には油田も豊富にあり、石油資源を求めていた日本にとってこの地域の制圧は生存上不可欠なことだった。
 
 その島は、1965年にマレーシアから独立し、シンガポール共和国となった。今でも東西航路の要衝であり、知識や文化のまじりあう高度な社会を実現している。人口は540万人程度だが、所得水準は非常に高い。シンガポールは、赤道直下の島。雨季・乾季はあるようだが、毎朝7時に陽が上り、19時に沈む。月毎の気温の変化もほとんどない。年中夏、というわけ。
 

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 今年初めて「昭南島」を訪れる機会があった。2泊だけの短い滞在だったが、仕事の合間に話題の「マリーナ・エリア」に行ってみた。そこには「宇宙基地」のような光景が広がっていた。このような壮大な施設を作るカネがどこからくるのだろうというのが第一印象だった。カネを出すということは、何かの回収のメドがなくてはいけない。この施設はそんなに利益をうむのだろうか?
 
 まあ、そんなことを言っているようでは新しい時代の経済に付いていけないことを露呈するだけかもしれない。豊臣秀吉の大建築や徳川家康の江戸治水にしても、どうやって回収するか凡人には見当もつかなかったのだろうから。
 
<初出:2016.7>