Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

パリ11区

 パリの同時多発テロから、1年が経った。メディアで取り上げられることも少なくなってきたが、非常事態宣言は継続中である。数年間足が遠のいているが、僕らのパリの定宿「シタディーヌ・バスティーユ・マレ」は、その11区リシャール・ルノワール通り沿いにある。

 
 シャロンヌ通りのカフェ「ラ・ベル・エキップ」で19名が亡くなっているが、そこまでも300~400mほどしか離れていない。日曜と木曜には、リシャール・ルノワール通りに市場が立つ。いわゆる「バステーユの市場」である。鳥が丸々一羽ボルトに突き刺されて電熱の前で回っている。ハワイでいう「フリフリチキン」のようなものだが、落ちた油を受ける皿にポテトが入っていて、こちらの方が美味しそうだ。海産物はノルマンディーから運んできたよ、と店の人がいう。そういえば、ノルマンディーの塩というのも売っていたな。

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 シャロンヌ通りの南、隣の12区に入ったところには常設の「アリーグルの市場」がある。野菜なんでも4ユーロ/1kgなどという売り方もしていた。チェックインした次の日に野菜をまとめ買いをするのにいいね、などと家内と話していたが、結局それから行けていない。
 
 来年は、ドイツもフランスの首脳選挙の年だ。"Brexit" も、トランプショックも、世界中でナショナリズムが台頭している証である。この両国も、その波に洗われている。
 
 フランスでは、極右政党「国民戦線」のル・ペン党首が意気軒高だ。普通ならこういう国難の時には現職が強いのだが、与党左派のオランド大統領に人気がない。結局、野党右派と極右の戦いになると見る向きもある。いずれにしても、今よりさらに難民・移民に対して厳しい姿勢で臨むことになるだろう。
 
 あくまで旅行者としての感触だが、フランスの社会保障制度は充実していると思う。日本が騒いでいる「少子化対策」だって、かなりの成功例を示している。それでも、市民は不満だし不安だ。そのはけ口が、イスラム教徒だったり、移民・難民に向けられているようだ。また笑顔でパリの市場で買い物をしてみたいと思うのだが、いつになりますかね。
 
<初出:2016.11>