Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

ファーウェイ訴追、日本の5Gの行方

 ついに米国がファーウェイそのものへの訴追に踏み切り、米中対立は一層深まっている。ある意味新時代の中国を代表し、「中国製造2025」をけん引する企業がファーウェイだったから、中国側のショックは大きいと思われる。一方の米国としては、これまでさんざん中国のサイバーエスピオナージや知財侵害に悩まされてきたという思いがあるから、このくらいは当然だと考えているだろう。

 
 識者によると、中国のサイバー攻撃による知財侵害は2010年代前半に横行し、これに業を煮やしたオバマ政権が2015年にオバマ・習会談で警告して、その後攻撃は抑制的になったという。サイバー攻撃の手段として使われてきたひとつが、中国製機器に組み込まれた(とされる)スパイウェア。かつてはレノボのPCに不審なハードウェアが発見されたことがある。
 
 これはいかにも急ごしらえのようにジャンパー線をはんだ付けしてあったというから、見つけやすかったのだろう。その後、米国政府はレノボのPC使用を禁止した。(霞ヶ関では予算の関係か、いまでもよく見かける・・・)
 
 同じようなことが、、ファーウェイやZTEの通信関連機器で行われているというのが、米国が持っている疑惑。実際「余計なもの」が組み込まれていたとする報道もあるが、LSIに入れ込んでしまえば外部から見つけるのはほぼ不可能だ。それでも米国のファーウェイ排除の動きにオーストラリアなどが同調、日本政府も明確にはしていないがさきごろワーニングを出して事実上排除に踏み切った。

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 ファーウェイは日本の経営者も「立派な会社」と評価する向きもあり、なにより低価格で相応の性能の機器を提供してくれるので助かる面も大きい。特にソフトバンクは、長く親密な付き合いをしていて最後まで擁護したかったのだろうが、ここに至り悩みを深めているという記事があった。
 
 
 5Gの早期普及のためにファーウェイは切り捨てられないと、ソフトバンクの要望もあったのか昨年中は総務省は米国の排除方針に反対していた。米国に同調する経産省との対立も(例によって)深まったのだが、今回の訴追でそれには決着がついた。問題は、5Gの普及速度でしょうね。
 
<初出:2019.2>