Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

新聞業界のデジタル革命

 学生時代どの業界に就職するかと聞かれて、専門が専門なのでICT(製造)業界かなと答えていた。そのころはまだ作家志望が残っていたし、大学に残るよりは実社会に一度は出た方がいい。それなら普通に大きなICT製造業に入って業界を見て、それから行先を決めたらいいくらいに思っていた。

 
 しかしそんな僕のようにいい加減に人生を考えず、「大学院に行くなんてムダ、生涯年収の大きなマスコミに入る」と言っていた目端の利く同級生もいた。大学院時代でも、「メディアは待遇がいい」と地元新聞社に就職した先輩がいた。そんな人たちも、もう定年になっているのだが、新聞業界に逆風が吹いている。
 
 
 昨年10月の実績が、とうとう4,000万部を割ったことで業界に衝撃が走った。それを何人かの識者がコメントしているが、元東京新聞の長谷川氏のコメントが一番興味深かった。この方、こわもての論客だが正論をおっしゃることが多いと思っている。この記事も、最後のところで、新聞業界の改革案を述べておられる。
 
 デジタル化の進展で、情報発信がメディアの特権ではなくなっている。しかしその事実を認めたがらない関係者が多く、改革ができていない。その結果、新聞が対価に見合うものでは無くなった。だから本当に記事の書ける少数の記者だけを残し、彼らの報酬を上げて質を確保するというのが主張の骨子。

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 これは、どの業界でも起きた/起きうるデジタライゼーションの特徴である。マシンで代替えできない本質的な仕事、アマチュアにはできない「芸」を持った本当のプロだけが生き残るというわけ。製造業などで起きていたことが、とうとうメディア業界にまで来たのである。
 
 一般的なニュースを集めるのは通信社に任せて、新聞は独自のオピニオンを出せということだ。自社では十分情報を集められない地方紙の知恵、全国紙も活用する時期がきたのだろう。一方メディア業界に詳しい人に聞くと、地方紙はニュースは共同通信時事通信社から購入しているから、これらの通信社にインプットすれば全国紙よりもレピュテーション効果がありうるとのことだ。我々情報を発信したい側も、新聞社の特徴をよく見極めて発信していく必要がありそうです。
 
<初出:2019.2>