韓国の経済が良くないという話は、何度か紹介している。米中貿易戦争の余波もあるし、内政の失敗もあるだろう。主力の半導体産業も中国企業の追い上げで苦しくなっている。韓国内ではかつてIMFの支援を受けていた時代を思い出し始めているとも聞いた。
もう20年以上前になってしまった1997年、韓国で通貨危機が起きてIMFの支援を受けるという事態になった。多すぎる公務員を削減、社会福祉などの公共サービスをカットするなど国内政治でできる範囲を超えた改革があって、その結果韓国経済は復活した。(もちろん多くの国民の犠牲の上で、である)
それから10年程たち、たしか麻生内閣のころだったと思うが財務省の官僚と意見交換する機会があった。彼は麻生内閣での赤字国債による景気支援策を暗に批判し、日本の財政赤字の危険性について述べた。曰く、「日本は経済規模が大きすぎて、IMFが支援できる能力を超えています。日本とアメリカは万一倒れれば、誰も助けてくれないのです」。要は本当に倒れてしまうよ、と言いたかったようだ。
企業で考えるとわかりやすいのだが、債務不履行に陥った場合、債権・債務の整理が必要である。これは管財人がついてその優先順位(逆に言うと踏み倒す相手)を決めるのだが、IMFという管財人なしに日本国が債務不履行に陥ったら大混乱が起きる。管財人代わりの「国家破綻処理法」を制定しておこうというアイデアである。
日本国(政府)というものを制御できるとしたら、進駐軍(古いか?)か憲法をはじめとする法律しかない。これはとてもいいアイデアだし、政治家さんも真剣に考えてほしいと思う。もちろん、想定に基づいて国民を含む債権(貰えるはずだった社会保障も含めて)者を優先付けして踏み倒そうというのですから、中身については大変もめるでしょうけれどね。
<初出:2018.12>