Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

いつか来た道(中国共産党政権)

 今年の最大の問題が米中対立にあることは、おそらく疑う余地は無いだろう。特にG20の議長国である日本、B20の取りまとめ役となる産業界にとっては大きな試練とも言える。デジタル経済の視点で見ている僕たちからすると、とても巨大になったけれど、全く異質の国である中国である。

 
 「Great Fire Wall」の向こうだけのことなら、ある程度仕方がない面はあるのだが、それが「Great Fire Wall」を越えて出てくるようでは、僕らは困る。壁の外からは中の状況がうかがい知れず意見も送れないのに、先方はこちらに「偽ニュース」を流すことも個人情報などを持っていくことも自由自在というのでは、まともな対話はできない。
 
 そう思って昨年後半から中国デジタル経済には注意をしてきたのだが、年末近く中国人の経済学者の意見を聞く機会があった。鄧小平の改革開放路線にもう一度戻れというのが、「中国の識者」としての彼の意見である。実際江沢民胡錦濤政権時代は鄧小平路線の継承者だったが、現政権になってから毛時代への回帰が強くなっている。習主席は自らを毛沢東になぞらえるように、自分の出身地に記念館を作って個人崇拝を進めさせるなどの行動が目立つ。

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 僕らの知らない間に改革開放路線は歪められて、文化大革命の失敗を繰り返す方向にむかっていたようだ。この記事では、習主席の昨年末の演説を専門家が読み解き、改革開放路線へ少しだけ舵を切ったと説明している。
 
 
 それがあたっているのなら、少なくとも曙光ではある。しかしここまで習皇帝的な中央集権を進めてきて直ぐに方向転換できるものだろうか?国内に摩擦がおきることは当然予想される。それにゆっくりと方向転換することになるだろうから、気の短いトランプ先生はそれを許してくれないかもしれない。歴史は繰り返し、新しい鄧小平が出てくるのか?それともアヘン戦争の時代に戻ってしまうのか?この1年が方向性を示してくれるでしょう。
 
<初出:2019.1>