トランプ先生は「一日に16回ウソをつく」と言った人がいる。別の人は「年中選挙キャンペーンをやっているようなものだ、特に何かが変わるわけではない」と達観している。世界中に貿易戦争を仕掛けたり、国内でも分断を起こすなどとんでもない大統領なのに、米国経済そのものは好調で拡大しつつある。政治がどうあれ、経済はちゃんとやってますよということ。
それでもいくつかの言動が、「危険な火遊び」であることに変わりはない。特に対イランの政策を僕は危惧している。イランとの核合意を災厄のようなものだとして離脱しただけでなく、今年11月と期限を切って原油を始めとするイランとの取引を止めろと各国に迫ったのは行き過ぎだろう。
イランの人口は約8,000万人、世界17位の大国である。かつて仲が良かった米国から購入した(押し付けられた?)ディーゼル潜水艦も持っている。地上から発射できる対艦ミサイルの試射もしている。またモーターボート等に爆発物を積んで特攻させる手段もある。(「震洋」みたいなものね)
この記事にあるように、世界の原油の大半は狭いホルムズ海峡を通る。ここを封鎖されたら、欧州も困るが日本は大変なことになる。ガソリンは高騰、というか手に入らなくなるかもしれない。物流は滞り、宅配に頼っていた買い物難民の中には餓死者が出るかもしれない。
そうなっても、封鎖を排除するような海外で使える戦力を日本は持っていない。自力で油槽船を警護する艦艇を派遣することすら野党の反対で出来ないかもしれない。先日、久し振りに「吉野家」の牛丼を食べたのだが、これがこの値段で食べられるのもいつまでだろうかと不安になった。トランプ先生の「選挙キャンペーン」も「危険な火遊び」もいい加減にしてほしいものだと思います。
<初出:2018.8>