Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

上手の手から水が漏れ

 都議会議員選挙の結果は、あっけないものだった。一地方議会選挙ではあるのだが、各党国政選挙並みの体制で臨んでいた選挙であるから、影響は小さくない。公明党との選挙協力がなく、しかるべき対抗勢力があれば自由民主党も厳しいということがはっきりした。それ以上に、世界的な現象として「既成政党への不満」が爆発している連鎖に、日本も無縁でなかったことが分かったのは大きい。

 
 毎度の「全員当選」を果たした公明党や「確かな野党」の共産党はともかく、自民党は歴史的大敗、民進党は存亡の危機にある。議員センセイは落選すればただの人であるから、当選するためならなんでもする。組織が相応にしっかりしていた自民党は少なくとも選挙前の「脱藩」は無かったようだが、民進党は執行部の求心力のなさから離党者があいついでいた。要するに「反自民」で選挙に勝てそうなところであれば、鞍替えは容易だということ。

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 都民ファーストの会という対抗軸があって、マスコミでも良く取り上げられるならそちらの方が有利に決まっている。結果フランスの総選挙でのマクロン新党躍進と似たようなことになり、議員の顔ぶれがずいぶん変わった。小池知事の言う「新しい議会」になったのだが、良し悪しは五分五分だろう。あきれかえるような不祥事が、都議会新人議員に起きないよう祈りたい。
 
 都民ファーストの会の躍進には、自民党の失策も大いに寄与した。森友問題に加計問題、真由子様の暴言や防衛大臣の失言などはマスコミの好餌となった。加計問題では、前川元事務次官の挑戦はカマキリで終わるか、蜂の一刺しになるか、と思っていたが、ついに政局にまで仕立てたのには驚いた。
 
 
 本件は、最強の官邸の実質的リーダーである菅官房長官の「上手の手から水が漏れた」のだと思う。しっかりグリップしていた事務次官に、退職後かみつかれたことに激高したとの報道もある。ここで退いては霞ヶ関の掌握にマイナスになると考えて突っ張ったのだろうが、結果は裏目に出た。それにしても気になるのは、直ぐに出てきた「出会い系バー通い」の話。加計問題とは全く関係のないことを持ち出したのは、上手い策ではなかったと思う。
 
 それだけでなく、こういうネガティブ情報を官邸が握っていて、不都合なことをすれば社会的に抹殺するぞという用意をしていたのではないかとも疑える。組織的天下りで窮地に陥りながら辞めようとしない次官に、この件の公表をちらつかせて辞任を迫ったのだとしたら?辞任後かみついてきたので、カッとなってネガティブ情報を暴露した、というシナリオすら考えられる。最強の官邸の源泉は、単に人事を握っているだけではなく高級官僚などのネガティブ情報を持っているからだとしたら・・・。
 
 8月といわれる内閣改造官房長官の留任があるのかどうか?もし交代となれば、それは誰か?その場合、菅氏の情報ネットワークは引き継がれるのか?興味は尽きませんね。
 
<初出:2017.7>