Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

AV-8BハリアーⅡ

 沖縄本島東の太平洋で、海兵隊ハリアー攻撃機が墜落した。ホーカー・シドレー・ハリアー戦闘機の初飛行は1966年であるから、ちょうど半世紀前。艦載型(シー・ハリアー)も開発され、1982年のフォークランド紛争では、「ハリアー英国を救う」と活躍をたたえられもした。
 
 その後米国のマクダネル・ダグラス社が、ハリアーの改造に着手。アメリ海兵隊は1971年からAV-8A型ハリアー攻撃機の配備を始めた。現在使われているのは、1982年に量産配備が始まったAV-8B型ハリアーⅡだと思われる。それにしても、30年以上経った機体である。
 
◆AV-8B+ハリアー
 全備重量 約10トン
 最高速度 マッハ0.9
 航続距離 2,250km
 兵装 ミサイル・爆弾等6トン、25mm機関砲
 
 海兵隊が、ハリアーを使いたい気持ちはわかる。陸軍・海軍・空軍に続く第四の軍隊である海兵隊は、いろいろな紛争地に最初に乗り込むのがミッションである。それゆえ、陸戦・海戦・空戦のすべての機能を持っている。十分整備された環境でなくても、先陣を切って戦わなくてはならない。立派な滑走路が無くても運用できる戦闘機/攻撃機は不可欠だ。

        f:id:nicky-akira:20190608124147p:plain

 スペックを見ると、制空戦闘機としてはほぼ役に立たないのが分かる。亜音速では、おおむね倍の速力を持つ中国のJ-20に襲われたらひとたまりもない。それでも、急造飛行場やヘリポートで運用できる戦闘攻撃機が存在していることが重要なのだ。
 
 海兵隊というのは、非常に頑固な組織だ。いまだにM-60戦車を使っていたりする。その辛抱強さには敬意を表するが、どのような事態に陥っても、ミッションを果たすということかもしれない。最新鋭の機器にはサイバー攻撃によって無力化されるリスクもある。本当にそう思っているかどうかは別にして、 古いものをそれなりに使う姿勢には、うなづけるものがある。
 
<初出:2016.9>