Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

弾劾しても無駄かも

 ボブ・ウッドワードという伝説の記者が、「恐怖」と題してトランプ政権の内幕を書いた。大統領選に勝利してから、もうじき2年になる。この間の米国の振る舞いについては、いまさらここで並べ立てる必要もないだろう。世界平和の不安定化の最大要因は、このトランプ先生の言動であることは自明だ。

 
 しかし「弾劾」の声は上がれど、そこまで行くにはまだまだ道が長い。今取りざたされている側近への有罪判決や、不倫疑惑にしても、大統領職を追うほどの罪状ではないからだ。さらに、このような記事が出て僕らの悩みは深くなった。
 
 
 少しづつ進んできた米国の政治的劣化が、臨界点に達して誕生したのがトランプ政権だというのがこの記事の主張。そうであれば、トランプ先生個人を除いても第二・第三のトランプが現れることになる。
 
 それでは、政治的劣化とはなんだろうか?直ぐに思いつくのは「政治家の劣化」である。オバマ前大統領は立派な政治家であるが、彼が民主党の大統領候補を争っていた10年前、「民主党として大統領選を控えて、候補が女(ヒラリーのこと)と黒人しかいないのは困ったものだ」と言った重鎮がいた。

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 一種の差別的発言と当時は捉えたのだが、立派なWASPの男性政治家がいなくなったことを嘆いた発言とも考えられる。これは民主党に限らない。トランプ先生を共和党候補に選んだ予備選の時も、有力と言われたマーク・ルビオ候補などは「インターネットはアメリカのものだ。他国には使わせない」と言っていたらしい。
 
 もちろん政治家は有権者によって選ばれるのだから、政治家の質は有権者の質と考えることも出来る。米国の多くの有権者は自分では知らないうちに発展途上国の労働者と競争させられて、収入を減らされたり職を失ったりした。ネット上で「偽ニュース」も流れるようになり、既存メディアは信用を失っていった。
 
 おおむねG7の国のどこでも上記の傾向はあるのですが、もう米国の再生は簡単には行かないところまで来てしまったようです。あと僕らに出来るのは・・・祈ることくらいですかね。
 
<初出:2018.10>