Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

夜行列車の復活劇

 

 西日本豪雨で、いろいろな交通網が寸断されている。日本に最後に残った2つの夜行列車のうち、サンライズ出雲の運休もしばらく続きそうだ。夜行列車は学生時代はよく乗ったし、東京・大垣間の普通列車には社会人になってからも2〜3度は乗った。
 
 あしかけ10年前に、夫婦で函館に行くにあたり寝台特急北斗星」に乗った。恐らくそれが最後だろう。すでに絶滅寸前の日本に対して、欧州では復活の兆しがあるという、嬉しい記事があった。

https://toyokeizai.net/articles/-/229202 

 地政学的な欧州の中心と言えばやはりドイツ。ドイツ国鉄(DB)が夜行列車から撤退するに当たり、その運営をオーストリア連邦鉄道(OBB)が引き継いで立派に再生させているというのがこの記事。一時期、LCCや長距離バス、昼間特急に奪われていた旅客を取り戻しつつあると言うことだ。トーマスクック社の時刻表を見ると、欧州大陸の鉄道網の充実度はよく分かる。

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 この復活劇の要因がいくつか挙げられているが、僕は最大のものは「上下分離」だと思う。日本では鉄道を引いて保持している事業者が、列車も運行させる。ついでにいうと構内の売店など関連施設もその事業者の運営になっている。しかし大阪の地下鉄で売店をコンビニチェーンに任せるなど新しい取り組みもあるし、富山市LRTは列車運行の事業者を公募した上下分離方式だ。

 僕は、ある程度需要を見込めるところなら列車の運行をする事業者を公募する方向で、活性化が図られると思っている。ただ都市工学の先生たちと議論すると、JR北海道の事業でで上下分離にしても苦境は変わらないよとの答えが返ってくる。だから「ある程度の需要」は要ると付け加えざるを得ないのが、僕の知恵と力のないゆえん。

 それでも、需要が少ないところこそ上下分離などの活性化策を採る余地があるのではとも思っている。どこかで実証などできないか捜しているが、過疎のところで失敗するとその地区を絶滅させてしまうかもしれないので容易に着手できない。このあたり、もう少し深い勉強をしないといけませんかね。
 
<初出:2018.7>