Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

大臣の資質

 秋の臨時国会、長期政権となった安倍内閣の中でメディアの好餌となっている閣僚が二人いる。いずれも「二階派」というのは偶然ではないらしい。二階先生は党の側から安倍内閣を支える重鎮だが、一時期自民党を離党していたことがあり、自身の権威を磨くのに派閥の大きさが必要だったと思われる。

 
 このため他派閥に入りづらい議員も含めて、寛容に人集めをしたらしい。故田中角栄首相の「力・金・数」の論理を体現する、レジェンド型の政治家である。その結果、派閥内に年次は熟したのだが大臣未経験の人たちを多く抱えることになった。そこで「最後の安倍内閣」に、大量にこういう人たちを送り込んだとメディアはいう。

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 片山大臣についてはともかく、桜田オリ・パラ担当大臣の迷走ぶりは噂以上である。この方衆議院当選7回(二階派)のベテランだが、過去に舌禍事件もあり大臣経験はなかった。そこで今回初入閣となったのだが、以前からその資質を危ぶむ声はあった。答弁に立つ機会の少ないオリ/パラ担当にしたということだが、どういうわけか「サイバーセキュリティ基本法改正案」の担当になってしまっている。
 
 
 職場に霞ヶ関のOBもいて閣僚名簿発表時に会話したのだが、「桜田先生は、デジタルの話どころか普通の科学技術の話も理解できないよ」とのこと。ある野党の政治家も、「え?桜田先生が担当。平井先生じゃないの」と驚きの声を上げた。加えて、「これは官邸が(サイバーセキュリティ基本法改正を)捨ててますね」とのコメント。
 
 今回の改正案、重要インフラ含む民間間でインシデント情報などを共有するための重要な点が含まれていて日本の安全のために欠くことのできないものだ。それが通常国会ではカジノ法案などのあおりを食って審議未了、この臨時国会でも流れるとそれこそオリ/パラができないかもしれないとの危惧がある。それが今国会では外国人労働者関連法が持ち上げられ、また先送りされる可能性もある。
 
 一時期サイバーセキュリティ基本法改正案を他の大臣に担当させるとの噂もあったのだが、官房長官の「適材適所です」との発言でチャラになった。安倍政権末期、長期政権はいいのですが「過ぎたるは、及ばざるが・・・」ですかね。
 
<初出:2018.11>