Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

高速鉄道の収支

 教え子でもある前首相との骨肉の争いを勝ち抜き、首相に返り咲いたマハティール氏が、歳出削減を理由に高速鉄道計画を白紙に戻すと発表した。クアラルンプール、シンガポール間の350kmを90分で結ぶ計画だったが、

 
 ・巨額の費用が掛かり、この事業から何も得られない。
 ・高速鉄道に乗っても、1時間節約できるだけだ。
 
 
 ということである。ただ国際的な合意を破棄することになるのでシンガポール政府との交渉が必要で、正式決定には時間がかかるようだがマレーシア政府の意思は固い。確かに巨額の費用は掛かるのだが、日本の場合は新幹線の登場でビジネス環境は劇的に変わった。それまで東京・大阪間の出張は宿泊が普通だったが、日帰りが可能になって高度成長に寄与したと思う。

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 その分、ワーカホリックと呼ばれれるほど労働負荷が上がった面もある。僕も名古屋勤務の時期には毎週必ず東京に出張し、3回/週を3カ月続けたら体調を壊した。その後、欧州でも高速鉄道が伸びや中国本土や台湾でも高速鉄道がデビューした。今回のマハティール首相の決定について、産経新聞は「一帯一路」への協力拒否姿勢だと述べている。そういう面もあるかもしれないが、高速鉄道の収支を第一に掲げ財政負担軽減を図ると言うのは真実だろう。
 
 しかしその裏に、前首相の汚職疑惑があるのではないかと僕は思う。中国から賄賂をもらい中国寄りの姿勢を見せた前首相を、追い落とすのが今回の選挙の目的だったのだろう、マレーシアの経済発展状況や、シンガポールとの関係を考えると高速鉄道は本当は必要、しかし汚職まみれの鉄道建設は困るということだったのではないでしょうか。
 
<初出:2018.6>