Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

メジャーリーグへのアピール

 日本ハムという球団は、スポーツ経営という意味で日本球界で先端的な球団だと思う。かつては東映フライヤーズという、東京を拠点にしていたもののあまり目立たない球団だった。(例の喝!で知られる解説者も所属していたように)暴れん坊が揃っていて、今日はめちゃくちゃ打ったが翌日はさっぱりという具合。

 
 映画業界が不振になって、日本ハムという食料品メーカーが親会社になった。オーナーは球団経営に意欲が高く、カネもつぎ込んだのだろう、大分強くなった。それでも日本ハムグループの広告宣伝部門(コストセンター)であることに変りは無かった。
 
 Jリーグという競合相手があらわれると、野球界も多少謙虚になり、メジャーリーグやJリーグのように地域フランチャイズ化を図ろうという機運が高まった。東京と大阪に、球団が集まり過ぎていたのだ。そこで南海(電鉄)ホークスは大阪から福岡に移ってダイエーホークスになった。大手スーパーダイエーは、当時進出を計画していた九州地区への宣伝のため、球団を買ったわけだ。
 
 楽天が東北に新球団を作り、日本ハムも球団空白地帯だった北海道に移転した。これで、四国・沖縄を除いて、プロ野球団は日本中に散ったわけだ。日本ハムの北海道でのプロモーションは、かなり洗練されたものだったという。先日函館に行った時、駅前の横断幕には開通した北海道新幹線と大谷選手が描かれていた。
 
 横断幕だけではなく、そこかしこに大谷選手のポスターや実物大ディスプレィがあって、北海道宣伝大使のような扱い。実物大の隣に立ってみたが、唖然とするほどでかい。その大谷選手、メジャーを希望して日本のドラフトを拒否していたのを日本ハムが強行指名して、説得を重ねて入団させることに成功。本人が希望した「二刀流」をさせることと、将来のメジャー移籍を容認したものと思われる。

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 コストセンターから脱してプロフィットセンターの立場を確立する一環として、球団は「大谷プロジェクト」の出口戦略を書いたのだろう。前代未聞の本格的二刀流で耳目を集めプロモーションにも使う一方、着実に(大事に)素質を開花させ、ポスティングシステムなど使ってメジャーリーグに「売りつける」。
 
 先日の先発投手起用は、メジャー関係者への販売プロモーションだったのだろう。163kmの速球や打者に尻もちをつかせるスライダーを見せつけて、大成功だった。ポスティングシステム等で優秀選手がメジャーに流れることを憂うる意見もあるが、スポーツもこの領域ではビジネスとして成立しなくては意味がない。メジャーには一般の日本人の想像をこえるマネーが流れ、日本球団は太刀打ちできない。
 
 日本ハムという球団は、そのトレンドをうまくつかんでいるという意味で先端的だと思った次第。20世紀型の代表である新聞社保有の球団も、少し考えてほしいものですね。
 
<初出:2017.9>