日本ビルの変貌

　所要でパソナさんを訪問することになった。ホームページで所在を調べてみると、東京駅北口の日本ビルと思しきところに本社があることがわかった。東京駅北口を出て日銀方面を見ると、日本ビル向かいのＪＸビルは跡形も無くなっていた。昔ＪＸビルにあった新日鐵の本社に行った事があったなと思いながら、日銀方面がスコーンと見渡せるようになったことに不思議な印象をもった。

 

　日本ビルそのものも建て替えの時期が近いのかもしれないが、こちらはすっかりリノベーションされていた。東京駅に面した東南角の低層部は、パソナグループのJOB HUB SQUAREになっていて、新しい感覚のオフィスショールームになっていた。カフェがあり、エンジンやプロペラなどのメカを組み込んだ会議テーブルがいくつも並んでいる。奥には植物工場があって天井からナスなどの野菜がぶらさがっていたりする。

　　　　　　　　

　このショールーム・カフェは以前、静岡銀行の支店があったところだ。地方の有力銀行だが、東京駅の真ん前にある必要はないと思っていたのでこのようなリノベーションは歓迎だ。パソナグループは人材派遣業であるが、標榜しているのは「働き方改革」である。自分の能力・指向・時間的制約に合わせた、ひとりひとりに合った働き方を選択できることが目標のようだ。国会の議論で、

　・残業100時間まではけしからん、過労死ラインを超えているから、

　　　これは過労死促進法案だ。
　・高度プロフェッショナル制度は、働き方改革でなく経営側を利する

　　　「働かせ方改革」だ。

　などの批判／論戦が続いているが、民間の方が先に改革しょうとしていると感じた。労働者の裁量範囲を狭めるような、あまり細かいことまで政治で決めてもらいたくはない。民間の自主的努力を活かせばいいことだと、このオフィスを見て思いました。

 

＜初出：2018.2＞