Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

ロビイストなら払えるかも

 

 日本全国人手不足で、パート/アルバイトの時給は上昇傾向にある。各県の条例で最低時給を決めるところも出てきているが、特に首都圏では人件費高騰が商品(特に外食)の値上げにつながっている。日銀の目標インフレ率達成にも、光が差してきたようだ。(半分冗談だが)
 
 最低時給のことは、やはり国際比較しないといけないので米ドル換算して各国の事情を議論したことがある。8~9年前のことで当時は1ドル=90円程度だったから、日本の時給800円というのは約9ドル。米国のそれよりも高いという議論をしていた。そこに海外経験の長い幹部が来て、「米国にはチップ制度があるから、額面通りの時給と実際の収入は違うよ」と教えてくれた。
 
 米国では、レストランやタクシーでの支払いに15%くらいチップを乗せるのは普通だ。慣れない日本人のために「チップ換算表」を出してくれる親切な(?)店もある。欧州ではそれほど高額ではなく釣銭程度だし、ある意味米国が突出した文化なのかもしれない。

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 その総本山ワシントンDCで、チップ制労働者の最低時給を15ドルとする条例案が可決されたとの報道があった。といっても明日からではなく、事業者は2025年までに措置すればいいとのこと。
 
 
 これには賛否両論があったとこの記事は言う。結局は人件費の高騰で商品の値上げをすることになり、利用客が減って雇用主も労働者も得をしないという話には説得力がある。立場の弱い労働者を守ろうとした条例だが、結果として彼らの首を締めることになるかもしれないのだ。
 
 まあ、ワシントンDCを闊歩し高級レストランで秘密めいた会合をするロビイストコンサルタントにとっては、多少の値上げは問題ないのかもしれない。僕は2025年までワシントンDC通いなどしないとは思うのですが、やっぱりレストランへは行かず、「Whole Foods」のデリカとビールにしてしまうでしょうね。
 
<初出:2018.6>