Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

エボラの脅威、トランプの脅威

 史上初めての米朝首脳会談、本当に行われるかは「Only God knows」であるが、トランプ先生の「これまでの政権ができなかったことをやる」姿勢はますますエスカレートしている。ビジネス界ではよくある差別化戦略なのだが、国際政治の中心として米国政府がやってはいけないことの域を超えることも厭わないのが恐ろしい。


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 典型的なのは前オバマ政権のやったことをひっくり返すことであり、TPPもイラン核合意もバッタバッタと斬って捨てている。僕らの業界でも、日米政府&産業界で決めてきたことを担当官を決めてくれないこともあって、進められないでいる。

https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/05/post-10196.php 

 そんな彼が、今度はエボラ対策の費用を削減するという愚挙に出た。この記事によると、2014年にオバマ政権が用意した緊急出資10億ドルがあるが、これはエボラ等が猛威を振るうのを抑えるために疾病対策センター(CDC)が活動するための資金である。現時点で2億5000万ドルあまりが残っているが、これも含めて予算を削減することを狙っているらしい。

 悪いときに悪いことは起こるもので、コンゴで発生したエボラ出血熱の流行はついに都市部にまで拡大、国際社会の支援なしに終息させられる見通しは立たない事態になった。この記事によれば、WHOは最悪の事態も考えられると警告を発しているという。

http://www.afpbb.com/articles/-/3174421 

 1976年から9回目を数えるエボラ出血熱コンゴでの流行に対し、国際機関の対応体制はそれなりに整備されていて、今回のウィルスの型も「ザイール型」だということはわかった。この型のウィルスは2013年末から大流行し、13,000万人以上の命を奪った。

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 今日本で流行り始めている「はしか」と違い空気感染はしないものの極めて致死性が高く、これまではアフリカ大陸に限定できていたものの今回もそれが守られるかどうかは定かでない。米国を始めとする先進国が力をあわせて拡大を防ぎ、終息させるべきなのにと暗澹たる気持ちになる。

 少なくともコンゴ方面へのビジネス渡航は制約されるだろうし、国際的な経済連携にマイナスになる現象であることは確かである。万一、全世界へパンデミックすることになったら、全人口の8割が死ぬとも言われている。人類の歴史は1,000年は確実に後退するだろう。このような事態を招きかねないとすると、トランプ政権そのものが国際社会の脅威になってきたように感じます。
 
<初出:2018.6>