Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

ガソリン車が消えていく

 欧州各国が、2040年という遠い未来のことながらガソリン・ディーゼル車の販売を禁止すると発表し始めた。この記事はフランスについて語っているが、イギリスでも同様の発表がされている。ドイツの動向は知らないが、大きな自動車産業を持ちながらエコ意識も高い国だけに、そう異なった結論を出すとは思わない。

 
 
 欧州のこの3国が足並みを揃えて、ガソリン・ディーゼル車の販売を禁止すれば、その何年後かにはガソリンスタンドが一部にしか見られなくなり、水素ステーションやバッテリーステーションが代わりを務めることになろう。水素は危険物なので相応の集積・防御する設備インフラが必要だが、電力であれば市中の電力インフラで賄えるだろう。都市は、危険な施設をひとつ減らすことが出来る。
 
 上記の記事は石油生産者や取り扱い事業者の危機を憂えているが、僕は危機はそれほどでもないと思っている。東日本大震災の後、いろいろな業界の人が集まって社会インフラの脆弱性を議論したことがある。特に震災直後、被災地でのガソリン不足が大きく取り上げられたことからかなりの比重でOil&Gusの議論をした。

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 その折石油連盟の人に教えてもらったのは、石油・石炭・ガスは1次エネルギーであって、これがないと始まらないということ。電気自動車だってエレベータだって、人を運ぶこれらの機器への電力供給の元はこれら1次エネルギー。電力は所詮、2次エネルギーだという。日本では、原子力発電はほぼゼロだし、再生可能エネルギーというものも十分な発電量があるわけでもない。山がちな地形を活かした水力発電はエコなのかなと思いきや、識者の間では「環境破壊の最たるもの」との意見もある。
 
 結局のところ、化石燃料を直接動力として使うか、一旦電力という形にして使うかの違いで、どこかでCO2を排出していることに大差はないように思う。ただ、内燃機関というのは非常に危険なもので、事故や故障で爆発する可能性がある。これを防ぎ人命をまもるための措置がクルマに求められ、それが重量・コスト増の原因になっているとしたら電気自動車の普及は意味がある。また前述したように、都市の中に貯蔵されているガソリン等の危険物を除去できるのも大きい。これは自動車と同じで、都市の設計・構築・運用の足かせになっている部分を除けるのだ。
 
 僕はCO2削減という政治的カンバンを掲げるのはいいとして、都市設計に自由と安心をもたらす意味で、ガソリン・ディーゼル車禁止にとりくんでもらえたらと思います。
 
<初出:2017.8>