Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

大都会のスマートモビリティ

 県民所得が一番低い沖縄で、何故か生活保護受給者が多くないという。2014年の統計だが、100世帯あたり4.1世帯と高い方ではあるが、大阪府の5.3世帯、北海道の4.5世帯、高知県の4.4世帯は下回っている。その理由のひとつだが、受給者は自家用車を持つことができないので申請をためらう人が多いらしい。生活保護費は貰えてもクルマを取り上げられたら生きていけない、クルマ社会の一断面なのだろう。これだから全国一律の規制は問題だ、とは思うが今回はそのテーマではない。
 
 高齢者の運転免許返納や、若い人のクルマ離れなどで、公共交通機関の重要性は増している。一方で利用者の多い基幹路線を除いて公共交通の経営は苦しい。バス路線が統廃合されて、近くのバス停まで山ひとつ超えないといけないなどという話はよく聞く。
 
 ここでも通信の場合と同じで「ラスト1マイル」を誰が担うのか、が課題になっているわけだ。最近聞かれなくなった言葉だが「地方創成」の掛け声が盛んだったころから、いろいろな企画がされ昨年くらいからいろいろな実証が行われている。ことほど左様に、政策には遅延がある。指針をさっさと「1億総活躍」にしたのも問題だが。
 
 
 輪島市では、通常公道を走れないゴルフカートを使って「スマートモビリティ」をどう実現するか検証が続いている。この種の話は、いずれも過疎に悩む地方の話だと思っていたら、東京のど真ん中大手町でも始まったようで驚いている。
 

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 大手町の三菱東京UFJ銀行の北側の歩道に、妙な切れ込みを作っているのに気づいたのは昨年の12月。タクシー乗場にしてはスペースが小さいし、自転車置き場なら車道と同じ路面にするはずはない。何だろうと思っていると、新年になってこの画像のような「スマートモビリティ」が停まっていた。御覧のようにナンバープレートも付いていないし、現状の法規制では「実証」までしかできないだろうが。
 
 運用システムはパリのヴェリブに似た、モビリティレンタルのようで、第一号が大手町にできたということ。実証事業としてどこまでやって、運用事業者(パーク24)がどこから投資してゆくのかは知らないが、面白い試みだと思う。タクシーの初乗り値下げなど最近、国交省は特に都会で結構アクティブである。・・・できれば地方のことも忘れないでね、交通弱者は地方の方が多いはずだから。
 
<初出:2017.2>