Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

士道に背きまじきこと

 財務省の文書改ざん問題や文科省の小学校講演調査問題などで、大荒れの国会である。野党はなんとか政治家を引っ張り出そうとしているし、デモ隊も安倍夫妻をヤリ玉に挙げて練り歩いている。日本はそんな状態なのだが、インドネシアでは政治家を批判したら逮捕されるという法律が成立したとのこと。

 
 
 「議会または議員に敬意を欠く行為」が、犯罪となるらしい。庶民派と言われるジョコ大統領は法案に署名することを拒否しているようだが、この国には大統領の拒否権はなくいずれは成立する。これについては2つの問題点がある。
 
 まず議会が法律を作るのだが、その趣旨が「オレを敬え」というのは酷いだろうということ。我田引水も極まれりである。もうひとつは、「敬意」というあいまいなものが有罪/無罪の決め手になると言うこと。かつての日本にも「不敬罪」というのがあった。戦前の刑法では、皇族に対して「不敬」の行為があった場合は懲役刑と定められていた。この部分は戦後の改訂で削除されている。

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 また幕末の動乱期に京都で暴れまわった「新選組」には「局中法度」というものがあり、鉄の規律で隊員を統率した。まあ無頼のものも多かったから、厳しい規律は必要だったのだろう。敵前逃亡や脱走などは切腹というものだが、これらの罪状と並んで「士道に背いたこと」というのが法度にあったのが後に問題になる。「士道」というあいまいなものが死刑か否かの判断基準になるのだから、運営サイド(一般に鬼の土方副長)の恣意で命を奪うことができたのだ。
 
 政治家が批判されたくないのは理解できるが、このような法律ができてしまうとメディアすら言いたいことが言えなくなってしまう。下手をすると独裁国家になってしまうのでは・・・。大国インドネシアの行方は気になるところです。
 
<初出:2018.3>