Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

最強官邸への挑戦(後編)

 安倍一強の状況下元文科省事務次官の爆弾発言「総理のご意向と書かれた文書は存在する」は、少し波風を立たせた。民進党が当該文書の存在を示唆し政府を追及したことに始まり、文科大臣が「そのような文書の存在は確認できなかった」(無かったとは言っていない)と事態収拾を図っていた最中、上記の発言が出たわけだ。
 
 するとどこからともなく「元事務次官の出会い系バー通い」報道が出てきた。出会い系バーの話など、かつての大蔵官僚「ノーパンしゃぶしゃぶ」騒ぎを思い出させ、本人もだがその話を持ち出したヤカラも品のない人物である。元事務次官発言の信頼性をおとしめようというわけだろう。それには、下品な話ほど宜しいということかもしれない。

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 事務次官と言えば霞ヶ関の「社長」である。15年位前、僕の会社のTOPが政府のお役目に就くことになり、ある府省から局長クラスのお役人が就任依頼にやってきた。僕はそれに同席したのだが、その時聞いたのが、「政府の仕事というと皆さん大臣・副大臣のことをお考えになるのですが、霞ヶ関の社長は事務次官です。そのあたりお間違えにならないように」との言葉。要は政治家のことは気にせず、プロパー官僚の考えを尊重してほしいということだ。
 
 さて今回の元事務次官の発言、元「社長」の発言とすると、重くもあるが違和感もある。「あったものをないことにはできない」というのは恰好いいが、「行政が歪められた」とは当時の責任者としていかがなものだろうか?この方何故おやめになったかというと、長年違法な「組織的天下り」をしていた同省のその時点の「社長」だったから。
 
 ずっとやってきたことなのに、「なんで俺だけ」という気持ちもわからなくはない。驚くほど素早く、峻烈な処分をされたことにも恨みは在ろう。しかし爆弾を投げた相手は最強の官邸である。この挑戦の結末はどうなるのだろうか?カマキリ(蟷螂の斧)で終わるか、蜂の一刺しになるか、はたまた政局まで持ち込むことができるか。しばらく、見てみましょう。
 
<初出:2017.6>