Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

韓国の政変と財閥の行方

 大騒ぎだった韓国大統領選が終わり、文大統領が就任して2週間になる。閣僚も揃ってきてそろそろ本格始動するのだろう。120日たっても政府のポストが1割くらいしか埋まっていないかの大国とはさすがに違う。・・・などと褒めていられないのが韓国の現状。慰安婦問題などは正直些末な話で、隣の国は相変わらず不気味だし、国内も失業・格差・不景気と問題が山積している。

 
 韓国の経済といえば、どうしてもサムスンを始めとした財閥頼りのところがある。中国の「まず豊かになる人から豊かになって、しかるのちにその他の・・・」といかなかったので社会不安が起きているのと、構図は似ている。個人や中小企業がいきなりグローバル市場で戦うのは難しい。韓国の国内市場は十分ではなく、グローバル市場で戦わなくてはならないので、政府の支援付きの大企業・大資本が前面に出て戦う方が効率がいい。

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 こうして「財閥」が大きくなっていった。それが一般の人や中小企業にトリクルダウンしてこなかったので、社会不安(不満)が蔓延してきた。「ナッツリターン事件」を始めとして、些細な事件ではあるが市民の怒りを買うことが続発し、とどめに朴前大統領の財閥からの違法献金・口利き事件が起きた。このような背景があって生まれた文政権であるから、財閥改革は重要な公約である。
 
 
 大統領から何が付きつけられるかはわからないが、すでに市民の集中砲火を浴びた財閥は活動の自粛を余儀なくされていて、公的な活動から手を引いている。代表的なのが、韓国の経団連にあたる"FKI, Federation of Korean Industries" のからの脱退である。

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 大手財閥全部がいなくなったことで、FKIは収入源である会費の7割以上を失ったとも言われる。これでは、財界活動そのものの継続も難しい。昔ヨイド・マリオットに滞在していたころには無かった立派なビルがメリオットのすぐ北に建っている。この維持もできるのだろうかと、他人事ながら気になる。
 
 下の写真は、FKIビルの前庭に置かれた「創造・協同・繁栄」と記された碑。立派な書であるが、書いたのは当時の朴大統領。韓国の大統領で真っ当な末路を迎えられた人は少ない。前大統領の父親にあたるこの朴大統領も、妻を殺され自らも暗殺され、娘は刑務所送りになった。さて文大統領はどうなりますかね。
 
<初出:2017.5>