Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

もう一つの少女像

 ほぼ泥沼化している「慰安婦少女像」問題だが、少女像はソウル・釜山だけでなくアメリカなど方々で「増殖」しているという。ところが、もうひとつ別の少女像を設置しようとしている人権団体が韓国にある。

 
 
 それは、中国大使館の前に「脱北者少女像」を置こうという動き。北朝鮮から中国へと脱出した人たちを、中国当局は見つけ次第拘束して送り返していることへの抗議である。これはリアルタイムで起きていることだし、送り返されれば収容所送りか悪くすれば命がない。人権の面からすれば、こちらの問題の方がずっと重いように思うのだが。
 
 ところが韓国政府は、こちらの「少女像」設置は許さない。中国への配慮もあろうが、メディアがとりあげる比率が違うことも原因だろう。朴大統領の職務停止で機能不全になった、韓国政府の場当たり的対応が情けない。ところで「慰安婦少女像」に似たようなものはないかと考えてみた。ユダヤ人虐殺などのモニュメントは方々にあるが、これは「ナチス・ドイツ」という特定の集団への糾弾なので、日韓関係ほどのインパクトにはならない。そこで思いついたのが、100年ほど前のアルメニア人虐殺のモニュメント。これも人権団体によってアメリカ中に立てられていて、トルコという国を糾弾している。

    f:id:nicky-akira:20190530053713p:plain

 この虐殺については最近映画化されたので、日本でも多少知られるようになった事件だ。アルメニア人はほぼキリスト教徒で、イスラム教徒のトルコ軍に虐殺された宗教戦争でもある。今でもアルメニア・トルコ両国は仲が悪い。キリスト教徒の多いアメリカ人はシンパシーを持っているが、米国政府もトルコ政府も特段何もしていない。
 
 だから今回の「慰安婦少女像」についても、勝手に設置させておくというのも対処のひとつではないかと思った。これが屈辱だと日本側が思うのであれば、逆に同じような「少女像」を量産して輸出してやったらどうだろう。10億円は返してくれるそうなので、そのお金で銅像作るなら、かなりの数が用意できるはずだ。
 
 取り締まってもダメなら、あふれさせてやって「コモディティ化」するというのも対処のひとつ。日常にどこにでもあれば(ユビキタス?)、そのうち像に意味など忘れてしまうのではなかろうか?
 
<初出:2017.1>