Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

3Dプリンターの利用範囲拡大

 3Dプリンターの登場は、比較的新しいデジタル革命の要素だろうと思う。しばらく前までデジタライゼーションは、インターネットの中などのバーチャル社会に限られていた。それがこのところリアル社会への波及が見られる。その一つはいわゆるIoT(Internet of Things)で、自動車などがデジタルでつながりはじめること。もう一つが、ものづくりがデジタルで変わることだ。

 
 デジタル革命は、人々の情報格差を減らし、遊休資源を活用し、業務を効率化し、新しい娯楽を生み出した。しかし影の部分もあって、なりすましによる詐欺やウィルスによる情報窃盗、業務妨害、ひいては国家の安全保障に関わるほどのリスクを生み出している。したがってIoTも3Dプリンターも、影の部分についての研究は必要である。今回、3Dプリンターの悪用例が日本でも発覚した。
 
 
 3Dプリンターの利点は、設計図がインターネット上に多く公開されていて、それをダウンロードするだけでものづくりの準備が出来てしまうこと。設計技術も部品調達も設備投資もほとんど要らない。だから面白半分に武器を作ろうとするヤカラは必ず出てくる。

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 ポイントはインク(というかプリンターに食わせる素材)にある。識者によると、3Dプリンターの技術そのものは昔からあって、最近適切なインクが発明されてシステムとして実用化されたとのこと。今回問題になった「拳銃」も、ずいぶん以前からプラスチック製のものが実用化されている。強度は十分ではないのだが、数発撃つくらいなら可能だ。テロ用としては、金属探知機に引っかからないから理想的な武器である。
 
 3Dプリンターそのものや、ネットの中にある設計図の規制は難しいと思う。しかしインクの規制ならできるのではないだろうか?各国政府の考えを知りたいものです。
 
<初出:2018.8>